相棒
暴走するロボットの群れを押し除け、ショッピングモールのサーバールームに向かう。しかし、先ほど倒したロボットが再び動き出し、私に襲いかかる。
ロボットが私に襲い掛かろうとした時だった。突如として槍がロボットに突き刺さり、白い長髪を靡かせた女が、私の救援に駆けつける。
「あなたは、美生なの?」
「細かい話は後! 今はこれをどうにかするのが先よ!」
『ブレイバー』の力を解放した美生は、槍の『ウェポン』でロボットを突き刺す。ロボットから槍を抜くと、今度はロボットの銃弾を弾く。
「少々鈍ってはいるけど、いい仕上がりね。でも、これだけじゃ満足しないわ!」
「話が読めないけど、それがあなたの『リンク』した姿なのね。変身前とは、まるで別人ね」
私の言葉に、美生は振り向いて話す。
「さぁね? でも、普段とは性格が違うのは否定しないわ。それに、またあなたと共に戦えるのだから、いつも以上に気分が高まっているのは確かね」
「また? 私は以前も『ブレイバー』になっていたの?」
私の問いに、美生はそっぽ向く。
「ま、まぁいいわ。それより、こいつらをどうする気? こんな数、相手にしたらキリがないわ」
「4階のサーバールームに向かって、『ウィルス』をぶっ潰す。あのロボットが発生源と断定して、『ウィルス』ごと破壊するわ」
私の作戦に、美生は別の案を考える。
「それでは、あれを止めるには至らないわ。しかもあれは『ウィルス』感染の類じゃない。おそらく、悪性の『アバター』によるハッキングよ。あのロボット、私が作ったあのロボットが感染源なら、サーバールームに行かずとも『アバター』さへ倒せばいいだけの話よ」
「悪性の『アバター』……。なら、ここは一緒に戦う他にないみたいね」
私と美生は、互いに『ウェポン』持ちながら並び、モールの下から来るロボット達を迎え撃つ。
「遅れを取らないでよ?」
「ふ、誰に聞いているのかしら?」
美生と私は、ロボットの群れに向かった飛び込む。すぐに姿を切り替えた私は、2丁の銃でロボットの群れを撃つ。美生もまた、飛びかかってきたロボットを槍で払い退ける。
「もう! ほんっとキリがないわね!」
美生は槍を振るいながら、ロボットの群れを破壊していく。私も『正宗』でロボットの群れを同じく破壊する。
だが、後ろからもロボットが迫り、私たちはエスカレーターを飛び降りる。下には別のロボットの群れが来ており、私たちを待ち構える。私は2丁の銃を待ち構え、地上で待ち伏せしていたロボットをガンカタで殲滅する。
「『ギリシア・コード【β】。ガンスリンガー』」
2丁の銃で、ロボットの群れを殲滅する。そして、美生もまたその後に着地する。すると、美生は上を見上げ、誰かを目で追っているみたいだ。
「あいつ! 私のロボットをハッキングした奴だわ!」
「あれが悪性の『アバター』をあれに送った奴ね。捕まえたいところだけど、この大群じゃ難しいわね」
私と美生は、ロボットの大群を跳ね除けながら、大元となったロボットの下に向かう。
「悪性の『アバター』の媒体になっているあれを壊さない限り、ロボットが復活し続けるみたいね。どうする? 壊してもいいなら、壊すけど」
「癪だけど、仕方ないわね。それしか方法がないのなら、やるしかないわ!」
私達はすぐに行動に出る。ロボット達を動かしている『アバター』を破壊するためには、まずはあのロボットをどうにかするしかない。
そうして、私はある作戦を思いつく。
「美生。私が前に出るわ。あなたは背後をお願い」
「無茶よ! あれは防衛対象に対して、あらゆる手段で排除するわ。いくら美羽でも、あれは流石に」
「いや、できるはずよ。あれを設計したあなたなら、いけるわ」
私の言葉に、美生は呆れながらも応える。
「確かに、あれは防衛対象の前では、あらゆる手段を講じて排除する。でも、非防衛対象が後ろにいるのなら、話は別よ。美羽が囮になるのなら、私は後ろから狙わせてもらうわ!」
美生は後ろに回って攻撃の準備をする。私は、『ガンスリンガー』の状態でロボットを迎え撃つ。
「なるほど、あれを発信源として他のロボットを動かしているってわけね。なら、とにかく敵意を私に向けられれば、その隙に美生がトドメを刺せば、値千金ね」
私はとにかく2丁の銃で、ロボットの敵意を向けさせる。
「『ギリシア・コード【γ】。パニッシュメント』!」
モーターがついたナックルで、ロボットに向けて殴りかかる。
「『γ・ブレイク』!」
モーターの回転によってできた加速を利用して、ロボットを複数回殴る。そして、渾身の一撃をロボットに浴びせる。ロボットはかなりよろめくと、私のウィンドウに警告が発せられる。
「うまく敵意を向けられたみたいね。後は、美生が決めればいいだけね!」
ロボットの敵意が、私に向けられる。すると、ロボットは警備のロボットに、私を排除するようにと命令する。
「『ギリシア・コード【α】。ブレードダンサー』」
『エネルギーブレイド』と共に、警備のロボットを迎え撃つ。すると、警備のロボットは次々と破壊していく。
「今よ、美生!」
美生は3階の辺りから槍を構える。
「『ゲイボルグ、【必中モード】』。さぁ、その心臓をもらうわよ!」
槍のウェポン、『ゲイボルグ』を自ら作ったロボットに向けて構える。そして、美生も『ギリシア・コード』を展開する。
「『ギリシア・コード【Ζ】。アーク・ストライク』!」
美生は槍を構えながら、ロボットのコアにあたる部分に向けて、『ゲイボルグ』を突き刺す。
「『コアブレイク・Ζ』!」
コアに向かって『ゲイボルグ』を突き刺す。すると、ロボットは呻き声を上げる。どうやら、悪性の『アバター』の声だろう。その一突きによってロボットは機能を停止する。それに伴い、警備用ロボット達も機能を停止していった。
「見事なものね。流石に、もう動くこともないでしょう」
「そうね。思入れのあるロボットだけど、この方が本望でしょう。まぁ、また作ればいいわ」
美生はロボットの残骸を見下ろす。すると、『仮想世界』越しに、逃げる黒フードの男を見る。
私達は『現実世界』に出ると、すぐさま黒フードの男を確保する。
「ここまでよ。さぁ、観念しなさい」
美生は男を拘束すると、男は美羽の体の下で「」抵抗をしている。
「や、やめろ! 俺は頼まれてやったんだよ!?」
「どう言え、あなたがやった事には変わらないわ。ここで警察に差し出す事だって出来るのよ?」
男は、美生の体の下で抵抗する。すると、男の容態が急変する。
「あ……あがが……あ……あああ……」
当然の事態に、美生は男の体から離れる。しばらくして、男はそのまま息を引き取ったようだ。
「何、これ? 死んだの?」
「そう見たいね。バイタルの反応がない以上、そうなるわ」
「一体何が? 『アバター』が消えた人間が死ぬなんて聞いた事ないわ」
私と美生は、男がなぜ突然死をしたか考察する。すると、機動隊がショッピングモールに突入する。私達はその場から急いで離れる。
かくして、ショッピングモールを舞台にしたロボットの暴走は、私たちがロボットを壊すことで収束したのだった。
もしよければ、ブックマークやいいね、評価の程よろしくお願いします!
レビューや感想も是非!!
次回は日曜日の22時頃に更新します!




