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第4話
それから1時間。
今の俺の状況がだんだんと呑み込めてきた。
「……つまり、俺は未来でとてつもない有名人だってことですか」
「平たく言えば、その通りです」
数々の賞を受賞し、さらにノーベル文学賞だって受賞したという話だ。
さらにいえばのちには自分の名前を冠した賞まで設立されているという。
信じられない話ではあるが、どうやら俺はこの後とてつもない業績を残すのだという。
「さらにいえば、あなたは文学以外にも数々の業績を成した方として、いわゆる偉人として認知されています。なので、あなたがこうして何も知らない、ということが我々としては信じられないのですが……」
中井さんの言葉に、後ろの人達もうなづいてくれる。
それが信じられないのは俺も同じことだが。




