第3話
「……間違いないです」
中井さんの後ろにいた別の人が、何かを見ながらうなづいていた。
「あの、何の確認なのでしょうか」
中井さんに俺が尋ねる。
「如月さん、もううすうす気づいておられるとは思いますが、ここはあなたが生きていた年代とは違います」
大体知っていた。
異世界にでも来たのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
俺のことを知っていることからも、ここが俺が生きていたところから未来になっていることははっきりとはわかっていた。
そもそも200年後の世界ってどこかで言っていた気がする。
「2225年9月21日がこの世界の今日になります。あなたは200年前の小説家で、とてつもなく有名な人物なのです。しかしながら、あなたがいた時代では、まだ有名ではなかった、つまりこれから書かれる作品は、この時代の影響を色濃くしているということなのでしょう。少なくとも、ここであなたは作品のテーマや必要な知識をとても多く吸収することとなるのです」
「つまり勝手にここへ連れてきた挙句に、お勉強しろっていうことか?」
「平たく言えば、その通りです」
中井さんの発言に、だんだんと頭が痛くなってきた。