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廃工場の殺人  作者: ツヨシ
2/2

三人組は甲川をいじめていただけではなく、電車内で三人ともが何度となく痴漢被害を訴え、相手から示談金をせしめていることもわかった。

痴漢が狙う女性は人によってそれぞれだろうが、平均以下の容姿とスタイルで、見るからに気が強そうで目つきの悪い女子高生を何人もがターゲットにするだろうかと言う疑問もあり、これは彼女たちが小遣い稼ぎにやっているのではないのかと、警察は考えた。

おまけに恐喝や万引きの疑いも浮上してきた。

そして三人にはアリバイがなかった。

三人ともに「三人でいた」と答えたのだ。

普通ならアリバイが成立するところなのだが、この場合は三人とも容疑者なので、証言には何の意味もない。

三人は殺人も含めたいろいろな容疑で、女子高生とは思えないほどに、警察からしぼられることになった。

そんな中、別の捜査も続けられていた。

現場には犯人の残したであろう遺留品がいくつもあったからだ。

警察が「殺人を行うにしては、あまりにも無防備すぎる」と思うほどに。

そのうちに遺留品はどれも三人組のものではないと判明した。

するといったい誰が犯人なのか。

そしてその持ち主がほどなくしてわかった。

甲川彩音。

佐久間にいじめっ子から助けてもらった、その人だ。

警察に呼ばれ、ベテラン刑事にやんわりと殺人の動機を聞かれた甲川は、何の感情も感じられない声で答えた。

「あの三人組にいじめられて、とってもみじめでした。何とかしようとしたんですが、うまくいきません。そんな時、佐久間さんが三人組をしかりつけ、いじめはなくなりました。でも……」

「でも……」

「私は佐久間さんに助けられていじめられなくなった。そう考えると、私はこれまで以上にみじめに感じたのです。だから佐久間さんを廃工場に呼び出して殺しました。あの子は私をもっとみじめにしたから」

そう言ったのだ。


       終

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