↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】私はただの侍女ですので(大嘘) ~ひっそり暮らしたいのに公爵騎士様が逃がしてくれません~【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/24

犯人捜しをしましょう

 姫様の弟君、第一王子リク・ヒストリア。

 年齢は十四歳。

 二年前までは風邪一つ引かず、極めて健康であったという。

 しかしある日高熱に魘され倒れて以降、急激に体調は悪化していった。

 現在では一日の大半をベッドで過ごし、数日に一度しか目覚めないこともある。

 医者たちの見解では、命の終わりが近づいている可能性が高いそうだ。


「――以上が、現時点でわかっていることだ」

「ありがとうございます。アスノト様」


 私とアスノトは王城に向かっている。

 とある人物から話を聞くために。


「詳しいことはこれから聞くとして、実際どうなんだ? 俺は魔法のことはわからん」

「そうですね。原因次第、としか今は言えません」

「君はどう思う? リク王子の病の原因、そもそもあれは病なのか?」

「……私は違う可能性があると思っております」


 私は少しだけ声を小さく、言いよどむ。

 

「理由は」

「特には。ただの直感です」


 根拠はない。

 言葉通り、そう感じているから。

 無理やり根拠をつけるなら、私の前世が理由だ。

 女王だった私は、身近な人物の裏切りによって命を落とした。

 王族は人々に愛されると共に、畏怖や嫉妬を向けられる対象でもある。

 現王制を快く思わない人間はいるはずだ。

 私の時と同じように、何らかの策略に巻き込まれている可能性も少なくない。

 とはいえ、根拠もなく決めつけることはできない。

 本当に病かもしれないんだ。

 それを確かめてからじゃないと。


「いらっしゃい。アスノト、イレイナさん」

「おはようございます。お二人とも、本日はお越しいただき感謝いたします」


 王城に到着すると、姫様とロベルトさんが出迎えてくれた。

 そのまま城内の応接室らしき部屋に案内される。


「先に謝罪しないといけないわ。ごめんなさい。やっぱり直接会わせることは難しそうなの」


 姫様が申し訳なさそうに語る。

 容態が悪化し続けている今、なるべく外との接触は避けるべき。

 というのが、医師や陛下のご意見だそうだ。

 現在、リク王子に面会を許されているのは、肉親である姫様たちと、専属の医師、魔法使い、そして教育係の男性一人だけだという。

 

「教育係というのは、ロベルトさんでしょうか?」

「いえ、私ではありません。リク王子の教育係は別のものです」

「彼は私たちよりリクの様子を見ているわ。直接は会わせられないけど、彼に話を聞くことはできる。それでも構わないかしら?」

「はい。よろしくお願いします」


 姫様は応接室の扉に視線を向ける。

 そして声をかける。


「入ってきてちょうだい」

「――失礼します」


 一人の男性が入室する。

 服装はロベルトさんと同じで、身長は彼より少し低く、体格は悪くない。

 表情はびしっとしていて、ロベルトさんよりも厳格そうな雰囲気だ。

 彼がリク王子の教育係……。


「ラバードと申します。以後、お見知りおきください」

「ラバード、彼女にリクの話をしてあげて。あなたが教育係になってから、あの子の変化を」


 ラバードさんが私を見る。

 目つきが悪いせいだろうけど、睨まれている気分だ。

 

「かしこまりました。どこからお話すべきでしょうか。可能であれば質問をして頂けますか? その方が答えやすいので。」

「わかりました。では、ラバートさんが教育係になったのはいつ頃でしょう?」

「二年と少し前です。前教育係が急病のために交代することになり、私が担当させていただく運びとなりました」

「ありがとうございます。その頃の様子、体調面や言動、周囲との交友関係も教えていただけますか?」

「はい」


 そこから彼にいろいろと細かく事情を尋ねる。

 ラバートさんはテキパキと正確に答えてくれるから、話が早い。

 新たに分かったことは大きく三つ。

 彼が着任した時点では、体調面に目だった変化はなく、言動にも特におかしい点はなかった。

 高熱で倒れて以降、魘されるように眠り、うわごとが増えている。

 薬や漢方、魔法による治癒も効果が薄い、というより見られないそうだ。


「何か特徴的な症状などはありませんでしたか?」

「いえ特には。しいてあげるなら……やはりうわ言が増えたことでしょうか。悪夢を見ているのかもしれません」

「悪夢ですか……」

「もうしわけありません。おそらく熱の影響でしょう。他には特にありませんでした」


 リク王子の容態について、これ以上話せることはないという。

 私は続けて他の質問を投げかける。


「リク王子の身の回りのお世話は、今はラバートさんがされているのですか?」

「はい。元は侍女や執事が行っておりましたが、陛下や医師の方々の意向で、なるべく接触する人数を減らしたほうが、リク王子の負担を減らせるのではないかと」

「ごめんなさい。その分、あなたに負担が集まっているのは知っているわ」

「お気になさらないでください、姫様。私もリク王子の身は案じております。教育係として、また明るく元気な姿を見せていただきたいです」


 姫様と共にラバートさんもリク王子の身を心配している様子だ。

 彼らは王子が元気だったころを知っている。

 話を聞く限り、リク王子はとても活発で、真面目で、明るい子だったらしい。

 それが今は一日の大半を眠って過ごす。

 大きすぎる変化に戸惑い、悲しむ気持ちがあるのだろう。

 

「すみません。もう一つだけお伺いしてもよろしいですか?」

「はい。なんでしょう」

「現在の治療法について、今もまだ薬品と魔法による治療を継続されているのですか?」

「薬品は続けております。ですが魔法に関しては効果が見られず、一年ほど前から行っておりません」

「魔法による治癒を試みた期間はいつ頃から?」

「そうですね。病が進行してからだったので、倒れられてから三か月頃だったでしょうか」


 つまり、魔法による治療を試みた期間は九か月前後。

 発症後、効果がなかったことで中止し、この一年は魔法使いの出入りもない。

 薬品は医者がチェックし、ラバートさんが飲ませているそうだ。

 ラバートさんは時計を確認している。

 

「申し訳ありません。そろそろリク王子のところに戻らないといけない時間です」

「そうね。あの子は寂しがり屋だから、ちゃんと見ててあげてほしいわ」

「はい」

「ありがとうございました。ラバートさん」


 私は頭を下げる。

 ラバートさんも同じように頭を下げて言う。


「お役に立てたなら何よりです。それでは――」


 立ち去ろうと振り返る。 

 一瞬だけ、私と目が合った。

 ただ、それだけだ。


「姫様も、リク王子の様子を見に行かなくてよろしいのですか?」

「……怖いのよ。弱っていくあの子を見るのが」

「……申し訳ありません。余計なことを聞いてしまいました」

「いいのよ。心配してくれてありがとう」


 弱っていく肉親を見続ける。

 それは一つの地獄の形。

 私が知らない、けれど似た味は知っている。 

 彼女の不安を取り除く方法は、リク王子を回復させるしかないだろう。

 その方法は未だわからない。

 ただ、ヒントは得た。

 少しだけ危ない橋を渡ることになりそうだけど……。


「アスノト様」

「なんだ?」

「頼りにしておりますよ」

「――? よくわからないが任せておけ」


 今の私には、騎士王と呼ばれている偉大な騎士がついている。

 いざとなれば、彼が守ってくれる。

 そう……信じることもいいだろう。


「では一つ、お願いさせてください。この後のことですが――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿しました! URLをクリックすると見られます!

『残虐非道な女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女の呪いで少女にされて姉に国を乗っ取られた惨めな私、復讐とか面倒なのでこれを機会にセカンドライフを謳歌する~』

https://ncode.syosetu.com/n2188iz/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

第一巻1/10発売!!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000

【㊗】大物YouTuber二名とコラボした新作ラブコメ12/1発売!

詳細は画像をクリック!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。