#5
レビュー執筆日:2019/4/17
●相変わらずの強烈な個性。そして随所に施された仕掛け。
【収録曲】
1.Ultra Overcorrection
2.Chocolate Passion
3.Tornado Minority
4.Who's WhoFO
5.EneMe
6.ten to ten
7.Serial Number Of Turbo
8.DIE meets HARD
9.High Energy Vacuum
10.#5
前作から約5年ぶりとかなり久し振りにリリースされた凛として時雨のフルアルバム。ここ近年はメンバー個々の活動(特に、ボーカル・TKのソロ活動)も目立っている印象がありますが、実際に聴いたところ、そこにあったのは長いブランクを感じさせないほどの「いつもの凛として時雨」でした。1曲目の『Ultra Overcorrection』のイントロを聴いた瞬間から一気に狂乱の世界へと引き込まれ、最後の『#5』まで、どこを切り取っても彼ららしさを感じられる一枚になっていると思います。
もちろん、そういう強い個性というものは下手すると「過去作の焼き直し」に繋がりかねないのですが、そうならないように今作もこれまでと同様に様々な「聴き所」が用意されています。『Chocolate Passion』ではサビの高速の4つ打ちが印象に残りますし、『EneMe』のサビにおける「もう分かんないよ もう分かんないよ」というフレーズは一度聴いたら頭から離れないほどの絶大なインパクトを持っています。『ten to ten』のエンディングにおけるのたうち回るようなギターソロや、『#5』の急に差し込まれるドラムソロといったサウンドには戦慄すら感じられ、狂騒的な音像の中に「美しさ」が浮かび上がってくると言っても過言ではないでしょう。
従来の作品と同様に、しっかりとバンドとしての軸を確立させた上で、様々な仕掛けが施された本作。最近はTKのソロ活動が再び活発化しており、この調子だと次回作が出るのはかなり先になるかもしれませんが、彼らにはこれからも個々の活動と並行してじっくりと「凛として時雨」としての製作を行ってもらいたいものです。
評価:★★★★★




