i'mperfect
レビュー執筆日:2019/4/15
●「複雑さ」と「インパクト」の配分が見事。
【収録曲】
1.Beautiful Circus
2.abnormalize
3.Metamorphose
4.Filmsick Mystery
5.Sitai miss me
6.make up syndrome (album mix)
7.MONSTER
8.キミトオク
9.Missing ling
アニメのタイアップがついた『abnormalize』等が収録された凛として時雨のメジャー3rdアルバム。今作でもこれまでと同様に彼らの大きな特徴である甲高いボーカルや暴れ回る演奏といった要素が見事に炸裂しています。『abnormalize』もアニメの主題歌に起用されたと知らなければ気付かないほどのいつもの「凛として時雨」ですし、曲数も同じ9曲で、収録時間も40分弱とほぼ同じ。『Missing Ling』のようにこれまでにないほど重苦しい演奏を聴かせる曲もあるのですが、基本的には従来の作風を踏襲していると言えるでしょう。
こう書くと、「焼き直し」に見えるかもしれません。実際に、『abnormalize』のように比較的分かりやすい構成の楽曲においては、若干そのように感じられます。(『abnormalize』に関しては、TKのボーカルで始まり、Bメロで一旦引いて、インパクトのあるサビを展開させるという点は前作に収録された『I was music』と似ているものがあります)しかし、その他の楽曲は、一聴しただけでは曲の全体像が見え辛いような複雑な構成をしており、その構成の仕方も様々なため、そういった「分かりにくさ」によって「焼き直し」といったマイナスイメージが薄まっていると言えるでしょう。もちろん、ただ複雑なだけではなく、『Metamorphose』のサビで急に跳ねたリズムになったり、『Sitai miss me』の終盤で急に新しいフレーズが出てきたりと「今のは一体何?」と思ってしまうような展開が随所に織り込まれており、それがインパクトとして上手く働いており、楽曲の複雑な世界観に入り込むための取っ掛かりになっているように感じます。
複雑さゆえに聴けば聴くほど新しい発見がある本作。激しさの中に意外と理知的な側面も感じられるアルバムでした。
評価:★★★★★