still a Sigure virgin?
レビュー執筆日:2019/4/13
●様々な尖った要素が絡み合って生まれた唯一無二の世界観。
【収録曲】
1.I was music
2.シークレットG
3.シャンディ
4.this is is this?
5.a symmetry
6.eF
7.Can you kill a secret?
8.replica
9.illusion is mine
凛として時雨ほど特徴を挙げやすいバンドはそうはいないでしょう。ボーカル・TKの気持ち悪さすら感じるほどの甲高い声、容赦なく暴れ回るギターやドラム、複雑な曲展開といった様々な要素が絡み合い、私達を不可思議な世界へと誘います。これだけだとグチャグチャした訳の分からないただの音の塊になってしまいそうな気がするのですが、もう1人のボーカル・345の澄んだ声、随所に見られるインパクトのある分かりやすいフレーズ等といった別の要素が組み合わさることにより、曲としての体裁を上手く保っているように感じられます。こういった絶妙なバランス感覚がこのバンドを唯一無二のものにしていると言えるでしょう。
オリコンチャートで1位を獲得した本作においても、そういった点が見事に表現されています。冒頭を飾る『I was music』のBメロからサビにかけての展開にはゾクゾクと来るものがありますし、その他にも『a symmetry』のサビにおけるTKの絶叫、『replica』における後半から急に速くなる展開等、聴き所を挙げていったらきりがありません。また、ヘビーな楽曲だけではなく、アコースティックギターの音を静かに聞かせる『eF』やミドルテンポで浮遊感のあるアレンジの『illusion is mine』といったメロディをじっくりと聴かせるような曲もあり、激しい楽曲群の中で丁度良い「抜き」になっているように感じられます。
様々な面で尖っているため、かなり好き嫌いが分かれるかもしれません。なので、少しでも気になった方は1曲目の『I was music』だけでも聴いてみてください。それで彼らを受け付けられるかどうかが分かるはずです。そして、そこを通過できた方はそれ以降に広がる世界観を存分に味わってください。
評価:★★★★★