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世界最強の魔女、始めました 〜私だけ『攻略サイト』を見れる世界で自由に生きます〜(Web版)  作者: 坂木持丸
第10章 呪いの館を手に入れてみた

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92話 コピペをしてみた


 ――“こぴぺ”。

 それは、神々が筆談のために創造した文字を操る魔法である。


 インターネット上では、基本的に筆談することしかできないが……。

 やはり筆談のみだと、相手がどういう気持ちかわからなかったり、返事に時間がかかってしまったりと、さまざまな問題が生じてしまう。


 そのため、神々は創造したのだ。

 顔文字を。絵文字を。ゴッドスラングを。ゴッドミームを。構文を。アスキーアートを……。



「――つまり、“こぴぺ”をすれば、文章を毎回考えなくてもスムーズに“想い”を伝えることができるというわけです!」



『\(^o^)/ヤッター』



 そう、筆談しかできないのなら――筆談を快適なものにすればいいのだ。


 なんでも、神々は“こぴぺ”だけで会話することも可能だというし。

 むしろ、『口で話すより筆談のほうがいい』という神々も多いのだとか。


 ちなみに、闇の女神ロムルーもインターネットをご存知でなかったが……。


(昔の神様はインターネットを使えないことも多いんだね。うーん、こんなに便利なのになぁ)


 神々にも世代間ギャップがあることを学んだローナであった。


 それはともかく、実際の筆談で“こぴぺ”をどう再現するかについてだが。


「あらかじめ“頻繁に使いそうな言葉”を書きためておいて、“想い”を伝えたくなったらそのページを開けばOKです!」



『m9(^Д^)プギャー』



「それ、われに頻繁に使うつもりなの?」


「ちなみに、“w”とつけると、笑っていることを手軽に伝えられるそうです!」



『m9(^Д^)プギャーwww』



「さっそく使いこなすのやめよ?」


「えへへ。これで筆談がスムーズになりましたね!」


「そうじゃな。こんなにスムーズに煽られたのは初めてじゃ」


 ちなみに、ロムルー自身も“こぴぺ”を使うのはかなり乗り気のようであり。


『ぬるぽ(挨拶)』


「ガッ」


「……っ!」


 あいかわらず表情は乏しいが、心なしか目をキラキラさせて、さまざまな顔文字やゴッドスラングを本に書きためていた。


『φ(・ω・`)カキカキ』


「えっと、どうですか? “こぴぺ”は使えそうですかね?」



『⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン』



「えへへ、そう言ってもらえてよかったです!」


「……よかったのか? 本当にこれでよかったのか? われらはなにか選択を間違ってしまってはおらんか?」


「? でも、神様ってだいたいこんな感じですし」


「そんな世界は嫌じゃ」


 なにはともあれ、これでロムルーと意思疎通がしやすくなったのは、たしかだ。

 さらには、“こぴぺ”のおかげで一気に親しみやすさも増した。


(うん! これが“こぴぺ”の力なんだね!)


 やはり、神々が創造した“こぴぺ”は偉大であった。

 まあ、神としての威厳とかは、どこかに吹き飛んだが。


 というわけで、筆談の問題も解決したところで――。



『称号:【闇女神の使徒】を獲得しました』



「……ん?」


 いきなり、そんなメッセージがローナの視界に表示された。


「あれ、なんだろうこれ……? 称号? 闇女神の使徒?」


 そういえば、以前、光の女神ラフィエールと初めて会ったときも似たような称号が手に入ったが。

 と、ローナが顔中に『?』を浮かべていると。



『【朗報】その称号、余からの感謝の証だった件www【圧倒的感謝】』



 ロムルーがもじもじと顔を本で隠しながら、そう伝えてきた。


「感謝の証?」


「…………(こくこく)」


「ふむ、こやつが使徒を作るなど珍し――」



「えっと、それって……具体的にどういうメリットがあるんですか?」



「……!?」


「お、おぬし、人の心とかないんか……?」


「えっ!? い、いえ、あの、そうじゃなくて。使徒って、なんなのかわからなかったので気になって……あと正直、なんだか面倒くさいことになりそうだなぁ、と」


 そう、ローナは結果的に世界を救ったりもしているが……。 

 あくまで自由に楽しく生きたいだけなのだ。

 神の使徒として崇められたいわけでも、世界を救うために生涯を捧げたいわけでもない。



『>>ローナ氏

  オウフwww安心するんだおwww

  それはwwwただのwww

  仲良くなったwww証wwwwww』



「なにわろてんねん」


「あっ、なるほど。“フレンド登録”みたいなものなんですね。それなら私も大歓迎です!」


「……おい、本当にフレンドでよいのか? こやつ、口調がそれなりにうざいぞ?」



『>>ローナ氏

  ちなwww余の使徒になるとwww

  闇属性の力がwww強化されるンゴwww 』    

         


「属性が、強化……あっ、そういえば! 光の女神ラフィエールさんの使徒になってから、プチヒールをするとビームが出るようになったんですが……もしかして、それも?」






『A.知らん……なにそれ……怖……』






「ひとつの謎が迷宮入りしたのじゃ……」


 それはそうと。

 “こぴぺ”のやり取りを通して、ロムルーとも仲良くなれたことだし。



「あっ、そうだ、ロムルーさん。私たち、この家に住みたいと思ってまして……」



『詳細キボンヌwww』


 というわけで、ローナはここに来た目的などを改めて説明することにした。


 ロムルーの登場もあって、だいぶ脱線してしまったが……。

 そもそも、ローナたちがここまで来た目的は、『この家に住むため』なのだ。


 この家を住めるようにするためにも、この家の怪奇現象やモンスターの発生を止めるためにも、ここにある迷宮核を取っておきたい。


 ついでに、テーラもすでに邪神活動はやめて、今はただ地上を観光しているだけであり……。

 というようなことを、丁寧にロムルーに話してみると。



『(`・ω・)b』



「わーい」


 思ったよりもあっさり、この家に住む許可をもらえた。

 どうやら、ローナを完全に信頼してくれたらしい。

 あるいは――。



「…………(じー)」



「?」


 ローナという珍妙な生き物を観察したい、というような理由かもしれないが。


 なにはともあれ、管理神のロムルーのお墨つきが得られたことだし。

 これで心置きなく、この家に住むことができるだろう。


「えへへ! ありがとうございます、ロムルーさん!」


「ふんっ。まったく認めるのが遅――」




『※ただしテーラ 貴様はダメだ』




「!?」


 そんなこんなで、いろいろと波乱もあったが。

 こうして、ローナは無事に我が家を手に入れたのだった――。


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― 新着の感想 ―
[一言] 久々に再開したと思ったら、爆笑掻っ攫うとか…ネ申か!!
[一言] >『※ただしテーラ 貴様はダメだ』 どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!?
[一言] ここは芳ばしい香りのするいんたーねっつですね
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