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世界最強の魔女、始めました 〜私だけ『攻略サイト』を見れる世界で自由に生きます〜(Web版)  作者: 坂木持丸
第10章 呪いの館を手に入れてみた

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88話 館を攻略してみた

そういえば、漫画版の装備の性能表記などがたまに原作と違ったりもしますが、ネット文章系は私が漫画用に書き直してるので、漫画家さんのミスとかではないです(長くてコマ圧迫するから端折ってる)


「……の、のぅ、こんな作戦で大丈夫か?」


「……大丈夫です。問題ありません」


 安全部屋(セーフルーム)でゾンビ対策について話し合ったあと。

 ローナとテーラは部屋にあった“だんぼーる”の中に隠れながら、こそこそとゾンビたちのいる地点へとやって来ていた。


「それではいきます! 動画……再生っ!」


 ローナがそう言って、インターネット画面を開いた次の瞬間――。



『――おかえり、にぃに♡ ご飯にする? お風呂にする? それとも……い・く・せ・い♡』



『『『――!?』』』


 場にそぐわない爆音が、辺りに鳴り響いた。



『――もう兄さん、まだ“育成”したりないんですか? まったく……あと1回だけ、ですよ♡』



『『『――!? ――!?!?』』』


 何事かと困惑したように、わらわらとインターネット画面に集まってくるゾンビたち。

 彼らがそちらに気を取られている隙に。


「今です、テーラさん!」


「……お、おう、なのじゃ」


 ローナたちは隠れていた木箱から颯爽と飛び出し、そして――。



「「破ァ――ッ!!」」



 ローナとテーラの肘打ちが、ゾンビに炸裂した。

 その次の瞬間、ずぱぁああああんんんッ!! と、凄まじい衝撃とともにゾンビたちが爆散し――。



『アヌビーストを倒した! EXPを8462獲得!』『キリングアーマーを倒した! EXPを5656獲得!』『ジャンプスケルトンを倒した! EXPを9393獲得!』『LEVEL UP! Lv80→81』『SKILL UP! 【ゾンビキラーⅠ】→【ゾンビキラーⅡ】』『SKILL UP! 【大物食いⅦ】→【大物食いⅧ】』…………。



 ゾンビたちがぽふんぽふんっと煙となって消え、ローナの視界に大量のメッセージが現れる。


 ――討伐完了の証だ。



「た、倒せた、のじゃ? 一撃で……?」


「えへへ。きたない花火でしたね!(最近覚えた)」


「きたない花火……? いや、しかし……まさか、本当にゾンビの弱点が肘打ちとはの」


「はい! ゾンビに対する肘打ちは、なぜか“ろけっとらんちゃー”と同じ威力になるそうです!(不具合)」


「よくわからんが……なるほどの。これが、いんたーねっとの力なんじゃな!」


「はい!」


「くくく、もうなにも怖くないのじゃ! 信じてよかった、いんたーねっと!」


「ありがとう、インターネット!」


 ローナとテーラが「いぇ~い♪」とハイタッチをする。


 こうして、インターネットのおかげで、テーラも自信を取り戻し――。

 そこからのダンジョン攻略は、さくさくと進んでいった。


「あっ、そこのロッカーにゾンビが隠れています!」

「肘打ちじゃあああ――ッ!」


「このジャンプスケルトンは、壁前に位置取るとジャンプ攻撃で壁に埋まってハメられます!」

「肘打ちじゃあああ――ッ!」


「ここのゾンビは、カメラで撮影するとひるむので連写するとハメられます!」

「肘打ちじゃあああ――ッ!」


 恐ろしく速い肘打ちにより、次々と爆散していくゾンビたち。



「くくく……今宵、われの肘は血に飢えておる……っ」



 テーラが不敵に笑いながら、肘の辺りをぺろりとなめる。

 とはいえ、ただゾンビを倒すだけでは、すぐに再出現してしまうが……。


「~~♪ 魔除けの松明、たくさん作っておいてよかったぁ♪」


 ローナは魔除けの松明を取り出して、床に一定間隔で設置していく。


 この松明は、正確には『モンスターの出現を防ぐ』という効果のアイテムだ。

 そのため、すでに出現しているモンスターには効果がないが……それでも、かなり強力なアイテムであることには変わりない。


 水曜日クエストのために大量に用意したものの、結局アイテムボックスの肥やしになっていたので、ちょうどよかった。


「ふむ。さっきから、なにをしとるかと思えば……それは魔除けの松明じゃったか」


「はい、この松明はとっても便利なんですよ! 明かりにもなりますし、モンスターもいなくなるので――」


「まあ、こまけぇこたぁいいのじゃ! どんなゾンビが出てこようが、われの肘があれば問題ないわけじゃしな! じゃはははは!」


 と、テーラが余裕の笑みを浮かべていたところで。


 ――新たなモンスターが、ずずず……と通路の先から姿を現した。


 影のようなボロボロの黒いローブ。

 怨霊のように全身にまとった青白い炎。

 そして、その手に持っているのは、命を刈り取る形をした大鎌。


 そんないかにも死神みたいなモンスターが、ゆらり……ゆらり……と幽鬼のような足取りでこちらに歩み寄ってくる。


「あっ、あのモンスターは――」


「おうおう、なんじゃ? なに見とんのじゃ? わざわざ、われに倒されに来たのか? くくく、よいじゃろう……ならば、我が肘のサビにしてくれるわあああッ!!」


 そう叫びながら、テーラが死神へと襲いかかり――。



「――あ、あのぉ、テーラさん? それ、肘打ちが効かない敵です」



「……へ?」


 しかし、ローナの忠告もすでに遅く。

 テーラの肘打ちが死神に直撃し――。



『………………………………』



 ――びくともしなかった。

 無言で見つめ合う、テーラと死神。

 やがて、死神はゆっくりと大鎌を振り上げ――。



「あ……あ゛っああぁあぁああッ!? ローナローナローナぁあああッ!?」



「わぁあっ! こっちにつれて来ないでください――プチライト!」


「あぁああ――ッ! 目がぁ!? 目がぁああっ!?」


 そんなこんなで、ちょっとパニックになりつつも。

 ローナはひとまず閃光(プチライト)で死神をひるませた隙に、テーラを回収して逃走した。


「うぅ、ぐずっ……こ、今度こそ、死ぬかと思ったのじゃ……」


「インターネットに『閃光が効く』って書いてあってよかったです」


「うぅ……ありがとう、いんたーねっと」


 とはいえ、まだ安心するのは早かった。


 ローナがちらりと後ろをふり返ると……。

 すでに閃光のひるみから立ち直り、ゆっくりとこちらに迫ってくる死神の影があった。

 どうやら、完全にターゲットにされてしまったらしい。


(やっぱり、あのモンスターは……やっかいだね)


 と、ローナは逃げながらネット情報を確認する。



――――――――――――――――――――

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――――――――――――――――――――

▍モンスター/【死験体零号デス・エクス・

 マキナ】


 ▍出現場所:【恐怖の館テラーハウス】

 ▍レベル :200

 ▍弱点  :なし

 ▍耐性  :物理攻撃・魔法攻撃・全属性

 ▍討伐報酬:なし


▍概要

 【恐怖の館テラーハウス】を徘徊している

 死神型の生物兵器。


 基本的に倒せないように作られており、ほ

 とんどダメージが入らないうえに、大鎌の

 攻撃には即死級の威力がある。


 遭遇した場合は、閃光やノックバックで足

 止めをし、逃げることに専念しよう。

――――――――――――――――――――



 ――レベル200。


 ローナがいまだかつて経験したことのないレベルの敵だった。

 さらには、神々ですら『()()()()倒せない』と言うほどの強力なモンスターらしい。


 できれば、()()遭遇したくなかったが……仕方ない。



「ひとまず、時間稼ぎのぉ――プチフレイム!」



 ローナは走りながら、後方へと魔法を撃つ。


 ごぉおおおォオオオ……ッ!! と、通路を蹂躙する炎の龍。

 触れたものを一瞬で灰へと変えながら、その炎は死神をのみこみ――。


「う……嘘じゃろ!?」


 しかし、死神はわずかにのけぞっただけで、何事もなかったかのように炎の中を進んでくる。


「われの肘打ちも、ローナの魔法も効かんじゃと!? あやつは無敵か!? も……もうダメじゃあ、おしまいじゃあっ!」


「いえ、大丈夫ですよ、テーラさん。ちゃんと()()()()()


「むぇ……?」


 そう、あの死神は()()()()()のだ。

 つまり、あくまで“ものすごく強い”というだけで、“無敵”というわけではない。


 そして、ダメージを与えられるのならば――“攻略法”は存在する。



「とりあえず、今は逃げましょう! こっちです!」


「う、うむ!」


 こうして、ローナは先導するように駆けだした。

 死神の動きはそれほど早くないが、行き止まりにぶつかれば簡単に追いつかれてしまうだろう。


 そのため、インターネットの地図を頼りに、正しい道を進まなければならないが――。


「ま、待て、ローナ! そっちは行き止まりじゃ!」


「大丈夫です! ここの扉はすぐ横にあるぽちぽちするやつを『上上下下左右左右R』の順番でぽちぽちすると開きます!」


「お、おおっ、開いたのじゃ――いや、また行き止まりじゃ!」


「そっちは石像の両眼にはめる宝石を持ってないので、このピアノの『シ』の鍵盤を4回鳴らして、こっちの赤い扉を開きましょう!」


「よ、よし、開いたのじゃ――って、また行き止まりなんじゃけど!?」


「今度のパズルは『3つの瓶に入る薬液を同じ高さに合わせる』というものでしたが、もう解き終わったので扉が開きます!」


「………………」


「あっ、ここの時計は『博士の手記その4』(拾ってない)の詩の暗号をもとに4時04分に合わせると、このように4冊の本が出てくるんですが――この本を使って、こっちの本棚の魔導書を『背表紙の魔法陣が完成する順番』に並べ直すと、本棚が横にスライドして、さらに鍵のかかった扉が現れます!」


「ぱ……ぱ……」


「ぱ?」



「――パズル多すぎじゃるぉおおおッ!」



 テーラが魂の叫びを上げた。


「普通に鍵を使えばいいじゃろぉおおっ! なんのセキュリティーにもなっとらんしぃいっ! ただただ日常生活に不便なだけぇええっ!」


「ま、まあまあ。とりあえず、次が目的地の部屋なので……」


 と、テーラをなだめつつ、ローナは目の前にある最後の扉に目を向ける。


「……目的地? この部屋になにかあるのか?」


「えっと、なんでもこの部屋は『やりこみ報酬がある隠し部屋』とのことで……とりあえず、ボス戦でとても役に立つ武器があるみたいです!」


「そ、それは本当かの!?」


「はい! それと、ここの隠し部屋を開けるための暗証番号は“4864”だと、『博士の手記その13』(拾ってない)に書いてあるそうです!」



「よし、開いたのじゃあああっ!」



 そんなこんなで、さっそく隠し部屋を探索することに。


 ちなみに本来、この部屋に入るには――『隠し部屋に落ちている4つの手記の記述をもとに、隠しボスの凶化死験体1~4号を倒し、そこで手に入る“破られたページ”をパズルのようにくっつけて……』といった手順が必要らしいが。



(よくわからないけど……普通に入れたし、まあいっか!)



 というわけで、ローナは考えるのをやめた。


 それから、隠し部屋を探索すること、しばし。


「えっと、“やりこみ報酬”の宝箱は……これかな?」


 インターネットの記述通りの場所で、少し豪華な宝箱を発見した。

 時間に余裕もないので、ローナはさっそく宝箱を開け――。


「こ、これは……なんじゃ?」


 出てきた“それ”を見たテーラが、思わずきょとんとする。


 たしかに、普段見ることのない形状の武器だ。

 使い方どころか、武器なのかどうかすら、ぱっと見ではわからない。


 しかし、ローナは確信する。

 これこそが、まさにローナが求めていた武器――。



「――わーい! 半自動式散弾銃セミオート・ショットガンだぁっ!」



 というわけで、ローナは念願の半自動式散弾銃セミオート・ショットガンを手に入れたのだった。

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― 新着の感想 ―
40も上の敵倒したんだから、テーラちゃんもレベルアップさせてあげてw
どう見てもKONAMIコマンド(笑) ( ゜∀゜)・∵ブハッ!! 素敵な小説ありがとうございますm(_ _)m 応援してます♡
[一言] わぁい半自動式散弾銃、ローナ半自動式散弾銃だいすき
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