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世界最強の魔女、始めました 〜私だけ『攻略サイト』を見れる世界で自由に生きます〜(Web版)  作者: 坂木持丸
第8章 王都で商売してみた

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56話 船旅してみた①


■前回までのあらすじ

港町アクアス&海底王国アトランを救ったローナは、王都行きの船に乗る。


◇ローナ・ハーミット

【インターネット】スキルによって、いきなり世界最強になった少女。

もともと世間知らずなうえに、インターネットで常識を学んでいるため、いろいろおかしなことになっている。

だいたい、なにも考えていない。



 ――どこを見ても、海だった。

 右も、左も、水平線の彼方まで広がる大海原。

 その中心を、ローナを乗せた船が、穏やかな波に揺られながら進んでいた。


「ふ、ふわぁ……」


 船縁から身を乗り出していたローナは、飽きることなく感嘆の吐息を漏らす。


(これが夢にまで見た……船旅!)


 港町アクアスで王都行きの船に乗ったあと。

 ローナはひさしぶりに穏やかな時間を過ごしていた。


(思えば、最近は……事件に巻きこまれてばっかだったしなぁ)


 と、自分のこれまでの旅を思い出す。

 エルフの隠れ里に行けば、毒花粉によって滅びかけており。

 港町アクアスに行けば、水曜日のスタンピードによって滅びかけており。

 海底王国アトランに行けば、神話の大怪物によって滅びかけており……。


 さすがに、そろそろ呪われてるんじゃと思えてくるレベルだ。

 なんだかんだで、そういう旅を楽しんではいるものの。


(えへへ! やっぱり、平和が一番だね!)


 と、ローナがしみじみと思っていたところで。



 ――ばしゃあああんッ! と。 



 海が爆発したかのような水しぶきとともに、船よりも巨大な海竜のモンスターが現れた。

 


「うわああああっ! 伝説の大海獣シン・サーペントが出たぞぉおっ!」

「この船は、もうおしまいだぁああ――ッ!」

「ぎゃあああああッ! ママぁああああ――ッ!」



「………………」


 いきなり平和じゃなくなった。

 やっぱり、呪われているのかもしれない。

 突然、現れた海竜の姿に、船乗りや乗客たちが悲鳴を上げて逃げ惑う中。

 ローナは遠い目をしたまま、海竜の前に立っていた。


「じょ、嬢ちゃん!? そんなとこにいたら、危な――」


「あっ、ちょっと待っててください。すぐに倒しますので」


「……へ?」


 とりあえず、このモンスターを放置しておくわけにもいかないだろう。このままでは船が沈没すること間違いなしだ。

 とはいえ、このモンスターの行動パターンはすでに“予習”してある。

 ローナはアイテムボックスから、“女王薔薇の冠”と“水鏡の盾アイギス”を取り出して。


「エンチャントウィング!」


 まずは、“女王薔薇の冠”の効果で敵視を集めながら、光の翼を生やして空に飛び上がる。

 そのまま、海竜の意識を、船から引き離し――。


「嬢ちゃん、危ない! ブレスが来るぞ!」


「大丈夫です――リフレクション!」


 魔法反射スキルを発動。


「シュルルゥッ!?」


 ローナに放たれた水ブレスが跳ね返り、海竜が思いっきりのけぞった。


(うんっ! 今回もインターネットに書いてある通り♪)


 ローナは、ほっと安心したように微笑むと。

 あらかじめ“最小化”していた画面を開いて、改めて目の前にいるモンスターの情報を確認する。



――――――――――――――――――――

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――――――――――――――――――――

▍ボス/【大海獣シン・サーペント】


 ▍出現場所:【リンクス海峡】

 ▍レベル :50

 ▍弱点  :雷・刺突

 ▍耐性  :水・火・地・打撃

 ▍ドロップ:シン・サーペントの魔石

       シン・サーペントの鱗

       シン・サーペントの牙

      【海蛇鱗の鎧】(20%)

      【海蛇剣シン・サーベル】(3           %)


▍概要

 初めて船に乗ったときに現れるイベントボ

 ス。

 かつては、難所として有名だったが……。


 一定距離を保っていると水ブレス(魔法)

 しか使わなくなるため、現環境では魔法反

 射スキルで完封できてしまう。


 海の波には乗れても、インフレの波には乗

 れなかったようだ。

――――――――――――――――――――



 そこに記されているのは、神々の知識。

 本来、この世界の人間には触れることさえできない、この世の真理だった。


(負けイベント? っていうのはよくわからないけど、見た目のわりに強いモンスターじゃなさそうだね。いや、レベル50だしちょっと感覚が麻痺してる気もするけど……)


 とりあえず、インターネットの情報によると。


『ある程度の距離を保っていれば、魔法スキルである水ブレスしか撃ってこない』


 とのこと。

 そのため、魔法反射スキルを使っているだけで、攻撃に対処することができるというわけだ。

 もっとも、今のローナのステータスならば、攻撃を食らってもほとんどダメージは入らないのだが……いまだに一般人の感覚が抜けていないローナには、あまりその自覚はなかった。


(あとは、攻撃して倒すだけ! 弱点が雷、なら――)


 ローナは船から充分離れたところで、杖先を海竜へと向け――。



「全力のぉ――プチサンダー!」



 そう唱えた瞬間。

 ばりばりばりばりィィイイ――ッ!! と。

 ローナの杖から、凄まじい閃光と雷鳴がほとばしった。


「「「…………へ?」」」


 船にいた人々が呆然とする中、雷は一瞬で海竜をのみこみ、そして――。



『大海獣シン・サーペントを倒した! EXPを8844獲得!』

『LEVEL UP! Lv67→68』

『称号:【大海獣を討滅せし者】を獲得しました!』



 ローナの視界に討伐を知らせるメッセージが表示されるとともに。

 海竜のドロップアイテムが、ぽふんっと海に落ちた。


 ――討伐完了だ。


「う、うぅ……あいかわらず、すごい威力……耳がキーンとする……」


 ローナは目を回しながら、ふらふらと船に戻っていく。

 そうして、船の甲板にふわりと降り立ったところで。


「えっと、みなさん大丈夫ですか?」


 ローナがいまだに呆然としている乗客や船乗りたちに声をかけると。

 その場にいた人々も、だんだんと状況がのみこめてきたらしい。


「……え、えっと」

「……助かった、のか?」


 彼らはしばらく、無言で顔を見合わせてから。



「お、おぉおおっ! 嬢ちゃんがシン・サーペントを倒したぞぉおっ!」



 と、船上で歓声が爆発したのだった。



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― 新着の感想 ―
wikiに「負けイベント」という記述がなく、繋がっていないように思いました。
[一言] シン・怪獣
[一言] そろそろプチシリーズ卒業して通常の魔法撃ったら良いんでない?(大惨事)
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