125話 思い出話をしてみた
というわけで、13章開始です!
◆光の女神ラフィエール
女神像の中(?)にある白い空間に住んでいる女神。
暇を持て余しており、ローナ(使徒)のお供え物が生きがい。
「――というわけで、“こみけ”はすごくいい思い出になりましたね!」
「…………」
そんなこんなで、慌ただしかった“こみけ”も終わり……。
ローナはひさびさに休みをもらって、『会いに行ける女神様』こと、光の女神ラフィエールのいる白い空間へとやって来ていた。
「えへへ、こうやってイベントを作るっていうのも、神様たちの“部活”みたいで楽しかったです! まあ、いろいろ大変なこともありましたが……でも、そういうのも含めて、すごく楽しくて! それと、撤収作業のときには、サークルの人たちもたくさん手伝ってくれたんですよ! みんなが同じ“参加者”って、こういうことなんだなぁっと!」
「…………」
「メルチェちゃんも次回の企画を、今から作ろうって張り切ってて……あっ、これは最後にみんなで記念に撮った写真ですっ! えへへ、次回も楽しみだなぁっ!」
「…………」
「? あれ、ラフィエールさん、どうしたんですか? 笑顔のまま固まって――」
「――我が使徒ローナよ。それ、わたくし誘われてないのですが」
「え? …………あっ……」
そこで、ローナは気づいた。
ここまでラフィエールも誘っていたと思って、めちゃくちゃ思い出話をしていたが……。
そういえば、ラフィエールを誘ったときの記憶がまったくないことに。
「あ、あのー? さ、誘ってません……でしたっけ?」
「はい」
「テーラさんやロムルーさんにも、誘われてない……みたいな?」
「はい」
「……あー……」
「………………」
「「………………………………」」
一瞬で、すごく気まずい空気になった。
「――我が使徒ローナよ。テーラやロムルーは誘ったのですよね? それなのに……わたくし、誘われてないのですが」
しかも、もう1回言ってきた。かなり根に持っていた。
「そ、それは……その、ですね……て、てっきり、誰かが誘ったと思ってたんですが――」
「でも、わたくし誘われてないのですが」(3回目)
「……ごめんなさい、忘れてました」
ローナは白状した。
「ただ……誘ったところで、ラフィエールさんって、この空間から出られるんですか?」
「まあ、出られませんが」
「…………」
「…………」
「――あっ、そうだ! これ、今回のお供え物です!」
「我が使徒ローナよ。なにちょっと面倒くさくなってるのですか? 最近、わたくしのこと、『テキトーに餌やっとけば大人しくなる女神』とか思っていませんか? そして、今回のお供え物はなんですか? 食べ物ではないようですが……わたくし、気になります」
「あっ、これは同人誌です! ラフィエールさんたち神様にとっては、見慣れたものかもしれませんが……」
「………………」
「あれ、ラフィエールさん? ……うーん、大人しくなっちゃった」
そんなこんなで、ラフィエールが同人誌を夢中で読むこと、しばし。
「ふ、ふふふ……まだ軽く読んだだけですが、これはよきものです。『お供え物・オブ・ザ・イヤー』と言っても過言ではない……たしかに、食べ物ならば一瞬で消費してしまいますが、この同人誌ならば長く楽しめることでしょう。我が使徒ローナよ、あなたは最高のソナエリストです。ラフィエールポイント+100点」
「えへへ! ちょっとなに言ってるかわからないですが、喜んでもらえてよかったです!」
「とくに、この『魔法少女オトナエリミナ』という大人になった魔法少女を描いた作品は、斬新な切り口ながらとても共感できる素晴らしい作品です。作者の『黄昏の邪竜教団・六魔司教』さんには祝福を――あれ、こいつら、世界滅ぼそうとしてなかったっけ……?」
「? ただのいい人たちですよ?」
「ま、まあ、よいでしょう。それから、この『魔砲少女リリカル☆エリミナ』も、作者の教養の高さがうかがえる素晴らしい作品ですね。作者のカキコ氏にも祝福を――」
「あっ、それは闇の女神ロムルーさんのペンネームです」
「参加者やべぇやつしかいないんですか?」
なにはともあれ。
こうして、今回のお供え物も済み――。
この空間にいられる残り時間も短くなってきたので、自然と雑談タイムとなった。
「それにしても……我が使徒ローナよ。最近は、ずいぶんと忙しかったようですね」
「あ、あはは、最初は休むつもりだったんですが……結局、バタバタしちゃいましたね。でも、“こみけ”も一段落して休みも取れたので……そろそろ、また旅行にも行きたいなぁ、と」
「おっほ、旅行!? 旅行ですかっ! いいですねぇっ!」
「わっ」
と、ラフィエールがめちゃくちゃ食いついてきた。
すでに土産を狙うハンターの目をしていた。
「それで、次はどこへ行くか予定はもうあるのですか?」
「えっ、いえ……それは、まだですが……」
「ふむ。でしたら、東方面はラフィエールポイントが高いですよ。個人的に東方のグルメは食べたことがないので――」
「あの……その、ラフィエールポイント? っていうのは、ためるといいことあるんですか?」
「会話するとき、わたくしが頬を染めるようになります」
「………………」
誰が得するんだろう、とローナは思った。
と、そんな話をしているうちに、この白い空間が光に包まれだし――。
「――おっと、お告げの時間制限のようですね――それでは、次のお供え物は――旅行のお土産で、お願いします――――」
「あ、はい」
そんなこんなで、ラフィエールからいつものお供えリクエストを受けるとともに。
目を開けていられないほどの光が、世界を白く塗りつぶし――。
「――わっ、とと……」
ローナは気づけば、女神空間から王都の広場へと戻ってきていた。
「うーん、ラフィエールさんへのお供えも終わったし……今日はもうやることなくなっちゃったなぁ」
と、ローナはどこか手持ち無沙汰のまま、「とりあえず、スロットでも回すかぁ」とカジノに向けて歩きだす。
忙しかったときは、『休みが取れたらあれをやりたい!』といろいろ考えていたのだが。
いざ、念願の休暇を手に入れてみると、『どうやって休めばいいんだっけ……?』となってしまい――。
「でも、せっかくの休みなんだし、やっぱり旅行はしたいよね。うーん、どこに行こうかなぁ……せっかくだし、どこか遠くに行きたいけど……」
と、ローナが旅行先に頭を悩ませつつ。
商店街へと足を踏み入れたところで――。
「……ん?」
ふと、ローナは気づく。
街の様子が、いつもと違うことに……。
「いらっしゃいませ~♪ 今日から、お得な『メタルノアコラボ復刻記念BOX(有償石)』が販売開始で~す!」
「わーいわーい!」「待て待て~!」「お得な『メタルノアコラボ復刻記念BOX(有償石)』が売り切れちゃうぞ~っ!」
「……おや? 今回もお得な『メタルノアコラボ復刻記念BOX(有償石)』が販売されているのだが、君はまだ買っていないのかい?」
「………………」
なんか、街の様子がいつもと違いすぎた。
気づけば、どこもかしこも『めたるのあこらぼ』なるものの話題で一色となっており……。
ローナは、ぽつんと立ちつくしながら、しばらく目をぱちくりさせる。
(……あ、あれ? 昨日まで、こんな感じだったっけ?)
ついこの前まで、王都は“こみけ”や“あにめ”の話題だらけで、誰も『めたるのあこらぼ』の話などしていなかったのだが……。
今では、誰もが当たり前のように『めたるのあこらぼ』について話しており。
「うぇ~んっ! うぇ~んっ!」
「あら、ごめんなさいね。この子ったら『メタルノアコラボ復刻記念BOX(有償石)』がないと、泣きやまないのよ……誰か近くに『メタルノアコラボ復刻記念BOX(有償石)』を持ってる人がいるといいんだけど」
「うぇ~んっ! うぇ~んっ! ちなみに、『メタルノアコラボ復刻記念BOX(有償石)』は、この道の先にある有償石ショップで購入できるよ!」
「………………」
世界から謎の圧を感じたローナであった。
それから、行きつけのジュースの屋台にも行ってみたが。
「――ただいま、当店では『メタルノアコラボ』復刻記念メニューが販売中でーす!」
こちらも、しっかり『めたるのあこらぼ』に侵蝕されていた。
「え、えっと、じゃあ……この、『復刻記念スーパースタミナドリンク』というのを――」
「お客さん! 有償石が足りませんよ!?」
「ゆ、有償石? なら、こっちの『ピコのオイルコーヒー✜』というのを、ひとつ……」
「ピコのオイルコーヒーですね! でしたら、3000シルになりまーす♪」
(…………た、高い……)
ちなみに、コーヒーは普通のコーヒーだった。
ただ、なんかドヤ顔をした小動物チックな少女(ピコという名前らしい)のグッズがついて来た。
(……な、なに? 誰なの、ピコって? なんなの、『めたるのあこらぼ』って……?)
と、ローナはさすがに気になって、インターネットで検索してみることに。
そういえば、最近は忙しくて攻略サイトをほとんど見ていなかったが……。
(えっと……これかな?)
ローナはすぐに、それらしい情報を発見した。
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▍最新情報
・【メタルノアコラボ】復刻開催!
・【メタルノア~侵略!メカ娘~】攻略
・【召喚】に新レア度【スーパーゴッドレ
ア】追加
・【ズワイガニ】の足の向きを変更
・【おにぎり】のグラフィック品質向上
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▍コラボクエスト/【メタルノア~侵略!メ
カ娘~】
▍概要
【メタルノア】のキャラたちが、世界を超
えてやって来る!?
異世界から迷いこんだ【イカロスの翼】の
少女たちと一緒に、コラボダンジョンを攻
略しよう!
イベント期間中、【ピコの魂のかけら】を
100個集めるとメカ娘【ピコ】が無料で
手に入るピコ♪(※公式SNSより抜粋)
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「……こらぼ? 世界を超える? 異世界?」
調べてみると……。
どうやら、この“こらぼ”というのは、『異世界とつながるお祭り』のようなものらしく。
さっきから、ちまちま名前が出てくる“ピコ”という少女は、『お祭りのたびにこちらの世界にやって来る、異世界の少女』のことらしい。
「……ん? 異世界と……つながる?」
そこで、ふと、ローナは思い出す。
自分がさっきまで、『旅行先をどこにしようか』と悩んでいたことを……。
そして、ローナは、ふたたび“こらぼ”という文字に目を向け――。
「――こ、これだぁっ!」
と、ローナに電流が走るのだった。
そういえば、ネット画面の書き方を変えてみました(過去の話も含めて)











