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102話 尋問されてみた


 不法入国容疑でドンゴワ自警団に捕まったあと。

 ローナが連行されたのは、『わ組』という看板がかけられた自警団詰所の尋問室だった。


「――組長! 怪しげな不法入国者を捕まえてきました!」



「……わふ。でかしたぞ、ベェタ。尋問はあたしに任せやがれ」



 そんな威厳たっぷりの声とともに、ローナの対面にある黒革張りの椅子がくるりと回り……。


 そうして姿を見せたのは、代紋つきの羽織をまとった――ちんまりとしたピンク髪のドワーフ少女だった。


「――わふーん? おまえが空から堂々と不法入国しやがったってゆう、やべーやつか……」


「え? あ、あの?」


 ローナをじろじろと睨めつけてくるドワーフ少女。

 どこか頑張って背伸びしているような口調でしゃべってはいるものの……。

 その姿は、あまりにも自警団の詰所には似つかわしくなく。


 というか、もはや迷子にしか見えず、ローナは思わずきょとんとしてしまう。


「あ……あのぉ? こちらの小さな“めすがき”の子は?(最近覚えた)」


「ち――ッ!? ち、ちち、小っちゃいってゆーなーっ! ドワーフならこんぐらいが普通……てゆーか、今、ガキって言いやがったっ!? と、とんでもなく失礼なやつだなっ! もういい、今すぐこいつを牢にぶちこみやがれっ!」


「く、組長、落ち着いてくだせぇ!」

「ほーら、組長の大好きな、混ぜもんのない飴ちゃんですぜ!」


 そんなこんなで、“組長”と呼ばれた少女が、強面のドワーフ集団になだめられること、しばし。

 やがて、“組長”少女が気を取り直すように、ごほんっと咳払いをする。


「さ、さて……待たせたな。あたしはこのドンゴワ自警団“わ組”をまとめやがってる、組長様のワッフルってもんだ」


「自警団……っていうと、“私人逮捕系ゆーちゅーばー”ってやつですよね! 私、知ってます!」


「……しじんたいほけー、ゆーちゅーばー? よ、よくわかりやがらないけど……ともかく、これからおまえの尋問をさせてもらいやがるぞ――まずは、おまえの素性から聞かせてもらおうか」


「あっ、私はローナ・ハーミット、15歳。“そしゃげ”とスロットが好きな普通の女の子です」



「……いや、『普通の女の子』は不法入国しないだろ」



「………………」


 言われてみれば、そうかもしれなかった。


(で、でも、『SQEXノベル公式サイト』ってところには、『ローナ・ハーミット:美味しいもの、楽しいことが好きなごく普通の女の子』って書かれてるし……)


 インターネットに書かれていることに間違いはない。

 つまり、ローナは『普通の女の子』なのだ。

 誰がなんと言おうと『普通の女の子』なのだ。


「てゆーか、15歳って、おまえこそガキじゃん……ったく、人間の年齢はわかりにくいなー。うーん……おおかた、家族に言われてやりやがったってところか?」


「あっ、うちの家族はみんな牢屋に入ってます」


「……おまえんち、犯罪一家かなにかなの?」


「はい」


「ま、まー、それはいい……や、よくはないけど。それより、どーして不法入国なんてしやがったんだ? 言っとくけど、言い逃れしやがろうとしても無駄だぞ?」


 そう、この国は今、とある“異変”のために厳戒態勢になっており――。

 ドワーフ以外の国への出入りを禁じて、怪しげな“よそ者”がいないか、目を光らせている状況だったのだ。


 そこに堂々と空を飛びながら不法入国してきた“よそ者”がいれば、一瞬で捕まるに決まっていた。


「い、いえ、不法入国をしようと思ったわけではなくて……『この国は壁抜けして入るのが近道だ』って神様たちが言ってたので、大丈夫かなぁと」


「……つ、ついに神とか言いだしやがったぞ、こいつ」


 もはや怪しさしかなかった。

 ワッフルは、ふんっと鼻で笑うと、ずいっとローナに顔を寄せる。


「いーか、あたしは腹芸が嫌いだ。たんとーちょくにゅーに聞くけど……おまえがこの“異変”の元凶か?」


「……“異変”?」


 と、不穏な言葉が、ワッフルの口から出てきた。


「あっ、そういえば、町が騒がしかったですが……もしかしてこの国って滅びかけてたりします?」


「わ、わふ? まー、そーだけど……やけに冷静だな、こいつ」


「いやぁ、私の行く町や国って、なぜかどこも“たまたま”滅びかけてるので、“滅び”には慣れちゃったと言いますか……あはは」



「……いや、町や国が“たまたま”滅びかけてるわけないだろ」



「え?」


「や、やっぱ、こいつ怪しさしかありやがらないぞ!」

「もう、こいつが“異変”の犯人でいいんじゃないですか、組長?」


「ま、待ってください、私は無実ですっ!」



「いや、不法入国はしやがっただろ」



「………………」


 そういえば、そうだった。


「で、でも、“異変”というのは本当に知らなくて……そ、そうだ! 証拠は……私がやったっていう証拠はあるんですかっ!?」


「わふんっ。まあ、証拠なら――()()()()()()()()だろーさ」


「え?」


「おい、ベェタ! ()()を持ってきやがれ!」


「もう持ってきてます、組長!」


「えらいっ!」


 そんなこんなで、ワッフルが部下から受け取ったのは――1枚の石板だった。


「そ、それはっ!?」


「わふふ……どーやら知ってやがるみたいだなー? そーだ、こいつはステータス鑑定の石板だ。ステータスを見れば、おまえがどんな悪いことをしてきやがったのかも、みーんな丸わかりだからなーっ!」


「そ、そんな……っ! ま、待ってくださいっ……それだけは、ご勘弁をっ!」


「あれれぇ~? もしかしてぇ、ステータスの中に見られると困るものでもあるのかなぁ~? なら――なおさら見ないとなーっ!」


「あ、あぁぁ……っ」


 こうして、勝ち誇った笑みを浮かべたワッフルが、ローナの手のひらを石板へと当て――。




――――――――――――――――――――

■ローナ・ハーミット Lv99

[HP:688/688][MP:99999/618]

[物攻:460][防御:2198][魔攻:3901]

[精神:5257][速度:502][幸運:695]


◆装備

[武器:世界樹杖ワンド・オブ・ワールド(SSS)]

[防具:終末竜衣ラグナローブ(S)][防具:原初の水着~クリスタルの夜明け~(SSS)][防具:猪突のブーツ(B)]

[装飾:エルフ女王のお守り(A)][装飾:身代わり人形(F)]


◆スキル

[インターネット(SSS)][星命吸収(テラ・ドレイン)(SSS)][エンチャント・ウィング(S)][猪突猛進(B)][水分身の舞い(SSS)]

[魔法の心得Ⅹ(C)][風魔法Ⅰ(C)][即死魔法Ⅰ(A)][拷問魔法Ⅰ(A)][服従魔法Ⅰ(A)][大物食いⅨ(B)][殺戮の心得Ⅶ(C)][竜殺しⅠ(C)][錬金術の心得Ⅶ(C)][プラントキラーⅠ(F)][スライムキラーⅠ(G)][フィッシュキラーⅢ(E)][ゾンビキラーⅡ(E)]


◆称号

[追放されし者][世界樹に選ばれし者][厄災の魔女][ヌシを討滅せし者][終末の覇者][女王薔薇を討滅せし者][雷獅子を討滅せし者][近海の主を討滅せし者][暴虐の破壊者][水曜日の守護者][原初を超えし者][大海獣を討滅せし者][光女神の使徒][黙示録の王][人の心がない][そんなに強くなってどうするの][闇女神の使徒][闇の魔術師]

――――――――――――――――――――




「「「――すいませんでしたぁあああッ!!」」」


 そんなこんなで、ローナのステータスを鑑定してから数分後。

 組長の椅子に座らされたローナの前には、土下座しているドワーフたちの姿があったのだった。


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] まぁステータス見ちゃったらね 謝るしかないよね [気になる点] 女神関連のは称号ないんでしたっけ?
[一言] > 「……“異変”?」 > >  と、聞き慣れない単語が、 ??? > なぜかどこも“たまたま”滅びかけてるので、“滅び”には慣れちゃった そうだった、異変なんて生ぬるいものは知らな…
[良い点] なんだろね。 朗らかな人物紹介画像より漫画版の何処となく人の心の無さそうなローナの方が納得のいく感じは、なんだろねw
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