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陽夜目線


 〈村雨 陽夜目線〉



 私、村雨 陽夜は裕福な家庭に生まれた。父は会社を経営していて、私自身にも従者(専属のメイド)がつくほど。

 従者の名前は「四宮 葵」私と同い年の高校生女子だ。彼女は優しく真面目で私より綺麗だ。頭脳も運動神経も良く、学年でもトップレベル。

 女子校に行ったら間違いなくモテるであろう、典型的なカッコイイ系女子だ。男子に生まれていたら間違いなく葵に惚れていた気がする。

 本人は気づいてないみたいだけど結構モテる。私もそれなりにはモテるとは思うけど、客観的に見ても葵か私だったら葵の方が良いなと思う。

 少し人と話すのが苦手らしいが人の話をきちんと聞いて話すところが他の人から見たら好印象らしい。元の容姿があってのことだけど……



 幼い頃から私に仕えてくれているからか葵は人の視線には敏感だ。だからきっと四宮くんの視線も気づいているとは思うが、自分への好意には鈍感なので四宮くんにはもう少し頑張って欲しい。

 今日、せっかく二人きりにしてあげたのだからきっと、四宮くんが何かしら行動を起こしたはず!そう思い、今、葵に尋ねているところだ。



「タメ口でいいからなるべく詳しくね!」

 そう言うと少し間を空けてから話し始めた。

「別れたあと、本屋に行って本を買おうとしたところで電話があったので、そこで戻りました」

「それだけ?手とか繋がなかったの?」

「つ、繋がないです!けど……」

 そう言った葵の顔は真っ赤だった。可愛い……四宮くんにも見せてあげたい。

「けど、高いところにあった本を取ろうとして脚立に登ったんですけど、落ちそうになったところを葵くんが支えてくれました」

「今、四宮くんのこと「葵くん」って言ったね。仲良くなれたようで良かったよ」

「あっ……わ、忘れてください」

 なかなか慌てているところを見れないからとても新鮮だ。しかもいつもはそこまで表情を出さないのに今は手で顔を隠している。

「支えてくれたんだ。優しいね、四宮くんは。でも抱きしめて欲しかったね」

 そう言うとより一層、葵の顔が赤くなった。

「見方を変えると……抱きしめてくれたとも言えるかもしれない、です」

「じゃあ葵に春が来たんだね」

「そう言う訳じゃないです!確かにかっこよくて優しくて頭も良くてよく助けてくれますが、好きという訳ではないです」

 これは自分の気持ちに気づいていないのかな?それに少し焦りが見える。いつもはもっと聞きやすいようにゆっくり話してくれるのに。

「そうなの?」

「そうです。じゃあこの話は終わりでよろしいでしょうか?」

 そう言う葵には、すでに焦りは無くなっていた。

「大丈夫だよ」

 四宮くんのアピールはまだまだ必要なようだ。四宮くん、応援してるよ……


────────────────────


 〈四宮 葵 (女)目線〉


――翌日


 普段通り学校に向かうとクラスが少し騒がしかった。主に女子が……気になり後ろの席の子に尋ねてみた。

「何かあったの?」

「普段ならいるはずの四宮様がまだ来ていないみたい」

 四宮様……この子もファンクラブの一員だったか。

「風邪かな?心配だね」

「四宮様が風邪なんて信じられない。四宮様が学校にいない学校など来る意味がない」

 そう言って涙を拭った。

「そ、そうだね。心配だね」

 若干テンションが違い話が噛み合っていない気がするが、気にしてはいけない気がする。

 そこまで話したところで先生が教室に入ってきた。そして手を叩き注目を集めた。

「はい、静かに。出席とります」



「今日から一週間くらい四宮くんが家の都合でお休みです」

 出席をとり、先生がそう言うとクラスはまた騒がしくなった。

「えっ、本当ですか?」

「嘘は言いません」

「私も学校休む」

「四宮様が居ない学校なんて」

 それぞれが言い出した途端、また先生が手を叩いた。

「休みで悲しいのかもしれないけど授業は受けてね」

 そう言うと先生は教室を出て行った。


 しばらく先生の出て行った方向を眺めていると、陽夜が前の席に座り、後ろを向いて話しかけてきた。

「葵、大丈夫?」

「えっと、何が?」

「だってボーっとしてたから」

「ごめん、少し四宮くんのことを考えていて……」

「葵も四宮くんのことがいいのか〜」

「そういうわけじゃなくて」

 慌てて否定する。私が四宮くんを気にしているのは、この前何も言わずに先に帰ってきてしまったのを謝りたかっただけで、気があるという意味ではない。

「じゃあどういうわけ?」

 いつもはとても可愛い天使のような微笑みなのに今は小悪魔に見える。

「この前何も言わずに帰っちゃったから一言でも話したかったなって」

「そっか〜、少し残念だな。美男美女でお似合いなのに」

「お世辞はいらないよ〜、美男はあってても美女は無いよ。それにファンクラブの人達に目をつけられたら大変だから結局は居ても話しかけられなかったかもしれないかな」

 正直なところ、蒼井さんがいなければ間違いなく陽夜と四宮くんをカップルとしてくっつけたかったのだけど……

 そもそも今日からしばらくは蒼井さんは居ないのだった。学校より帰ってからの方が忙しくなりそうな気がする。

 今日の放課後は実行委員会と劇の練習があるので帰るのも遅くなり、そのまま寝るのも遅くなりそうだ。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回は少し陽夜から見た葵(女)についての印象も書かせていただきました。

次回はもう少し文化祭について触れられたらと思ってます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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