きっかけ
大幅に改訂しました。
まだ改訂途中のため、途中で細部が繋がらなくなることがあるかと思いますがご了承ください。
また、始めの四話程はイジメに関する表現があります。苦手な方は飛ばして読んでいただけると幸いです。
艶のある黒髪に透き通るような白い肌。健康ではあるものの細い手足ををもった少女はその恵まれた容姿を自覚していなかった。
彼女の名は四宮 葵。平均より少し高めの身長をもつ彼女は、大人びて見え、美少女よりも美女の方が合っているように感じられる。
進学校と世間では呼ばれる学校で入試以来学年一位を取り続け、運動能力も高い彼女に対し、周りはこう評価した。
「全てにおいて恵まれた天才」
そしてそれは嫉妬を生み、黒い霧となって人々の心に残った。
そしてその霧はとある出来事によって彼女にではなく、別の人へ刃となりぶつかった。
いつもと変わりのない光景が目に入る。
教室の場所も机もクラスのメンバーも何も変わっていなかった。
でも今日はどこか雰囲気が違っていた。
毎日共に登校している友人──村雨 陽夜 は今日は体調不良で休んでおり、一人で登校していた。
何がいつもと違うのか、辺りを見回すとすぐに分かった。
クラスの明るい、賑やかな部類に入る人達の雰囲気が違う。どこか黒く暗く重い。
そして明らかにそのグループの一人に向けられている視線が見世物を見ているような、ドッキリが成功し嘲笑うようだった。
気味が悪い。
何故人は弱いものいじめをするのだろうか。
もしかしたら自分の思い違いかもしれない。
そうであって欲しいという願いを込めて近くにいたクラスメイトに話しかけた。
「何があったの?」
「んー……何か、机にね……」
歯切れが悪い。けれど情報は得られた。
机に何かあるようだ。
見てみようかと思うが思いとどまる。自分が何かする必要は無い。
陽夜が標的になっているならば別だ。私は陽夜の護衛であり、学友であり、専属のメイドだ。つまり陽夜や『村雨』家のためだけに動く人材だ。
陽夜が心地よく学校生活を送れるようにするのが仕事だ。
陽夜に関係の無いあの子を助ける必要は無い。余計なことはしない方が良い。
それにもう高校生だ。多少のいざこざくらいならば自分たちで解決出来る年のはずだ。
ほっといて自分の席に座ろうと考えていたものの、自然と足はいじめられている子の元へ向かっていた。
そして机を覗くと落書きがされていた。
墨汁を垂らしたり、ペンで悪口を書いたりと本当に酷いものだった。
ちらっと机の持ち主を見ると泣きそうな顔で俯いている。
そして気がつけばその子に声をかけていた。
「机、少し濡れるかもしれない。予め謝っておくね、ごめん」
急いで水道に向かい持っていたハンカチを濡らし、固く絞る。
そして机の汚れを丁寧に落としていく。
私の仕事は陽夜が心地よく安全に学校生活を送れるようにすること。
これは陽夜のために必要なことだった。
決して余計なことでは無い。陽夜だったらどう行動するか考えた結果だっただけだ。
そう考えれば気持ちが少し楽になる。
優しく誰にでも笑顔で話しかける陽夜に精神的なダメージを与えないため行動した。
少し無理矢理感あるが説明の仕方によっては理屈が通っているようにも感じる。
机を綺麗にし、使っていないものと交換して、再びハンカチを洗いに行く。
まだ新しかったはずのハンカチは汚れてしまっており、一度ついた染みはもう二度と取れなかった。
最後まで読んでいただきありがとうこざいます。
次回の投稿は数日後になるかと思われます。多少前後することがあるかもしれません。
これからも温かい目で見ていただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうこざいました。




