大阪城攻防戦2 陰陽軍師の犬坂
「見事な腕前です」
陰陽師の犬坂毛野が、剣士である犬塚信乃をほめながら、
犬神に語り掛ける。
「ですが彼の体力も限界に近いでしょう、
河童の拠点は封じたようですが、鬼の増援が、、、
ほらまた来ました」
ほとんど休む暇も無く、かぞえきれない数、まさに鬼増援である。
「ところで犬神さんは武術の心得があるようにお見受けします」
犬坂は犬神を天守閣から観察していたのだろう。
「私では鬼相手には力不足かと」
犬神は正直に答えた。
「この城にある武器や防具はどれも妖怪に有効な物です。
自由に使って良いといったら?」
犬坂の問いに犬神は不敵に答えた。
「何をすれば?」
「大阪城の守りは犬塚と私で担当します、
あなたには鬼の拠点をつぶしてもらいたい」
モニターの一つが地図に変わる。
「場所はおそらく長柄橋、そこに鬼が湧き出る橋脚があります、
敵拠点内には赤鬼ではなく青鬼が居ます」
今度は地図画面から青鬼の絵に変わる。
「拠点を消滅させる方法は、
青鬼の首を持って拠点から脱出することです、ばぶ」
犬坂が浜路に抱かれている伏姫をあやす。
犬神はスルーした。
「パトカーを使って下さい」
早く行けという空気が流れる。
浜路からキーを受け取って、犬神は階段を駆け下りた。
まず選んだのは赤い甲冑、
手に取って重ければ部分的に着用しようと考えたが、
心細くなるほど軽かった。
武器は脇差を腰に差し、なぎなたを取った。
急いで出口へ向かう。
長い廊下には座りこんでいる犬塚が居た。
「行ってきます」
犬塚は疲労困憊なのだろう、返事はなかった。
階段を駆け上がると連続で雷鳴が鳴り響く。
陰陽術なのだろうか、鬼に雷が落ちている。
パトカーへと向かう途中、一体の鬼が飛び掛かってきた。
なぎなたを構えた瞬間、鬼が振り上げた金棒に落雷、
犬神もなぎなた経由で被雷した。
まぶしさと爆音で衝撃が走ったが、痛みが無かった。
甲冑の効果だろうと思い、構わずパトカーへ向かう。
パトカーの後部座席側のドアを開け、なぎなたを投げ込む。
なぎなたはそれでもはみ出るので、窓を開けた。
サイレンは鳴らし方がわからない、そのまま発車した。