表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アメコミ風 南総里見八犬伝説  作者: 淀川馬琴
3/121

大阪梅地下編3

侍とは死ぬこととみつけたり。


犬神真人は常にその気持ちで生きてきた。

現代では命がけで戦うことなど無いが、道場での修練で、技と精神力は鍛えてある。


「だあ」

赤ちゃんが居なければ、このまま河童どもと死闘を繰り広げていただろう。

しかし、赤ちゃんを道連れ、見殺しにはできなかった。


とにかく地下から脱出し、最寄りの曽根崎警察署にでも駆け込む。

犬神真人はそう考えた。


「どこやここは」

さっきまで必死に逃げていたせいで現在地が分からない。

ふとあたりを見回すと遠くに噴水が見える。


泉の広場、、、

確かすぐ近くに階段があったはず。

近寄って行こうとしたが、そこに異様な影がうろついていた。

どうやら河童は噴水の水溜まりから湧いて来ていたのだ。


わらわらと湧いて出る河童達だが、誰かと戦っている。

その男はだんだら模様の羽織を着ていた。


男は日本刀で河童達を切り捨てている。

無駄のない動きだった。簡単に切れている事から単なる日本刀ではないのだろう。


男は複数の河童に囲まれているが、危なげなく立ち回っている。

飛び掛かってきた河童は剣の間合いに入った瞬間、切り落とされ。

首を伸ばしての噛みつきも、余裕をもって頭を切り落とす。


刀の間合いの分、有利なのだ。


その時、噴水にいた河童が口から水を勢い良く吐いた。

野球のボールほどの大きさ、速度はゾッとするほど、時速200KM以上出ていそうだ。

男がその水弾を切り払うと、霧となった。


無限に湧いてくる河童、余裕をもって戦う男。

犬神真人は男に声をかけようか、隠れたまま見守っていようか迷っていた。


「その赤子は伏姫と言う、隠れていろ」

男がそう言った。犬神真人は従うことにした。


男は河童を切り捨てるテンポを上げながら、噴水に近づいていく。

近づくにつれて、その速度は人間の全力、限界に見えた。

ついには河童を全滅させて、噴水の溜め池に足を入れる。

そして池の水を切った。


「姫、行ってまいります」

男は池の中に沈んでいった。


犬神真人は噴水から河童が湧かなくなったので、泉の広場近くの階段から地上へ出る事にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ