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偽者がいる!

夏とはいえ既に18時を大きく過ぎている。外は夕焼けに染まって真っ赤だ。

「俺、帰る・・。」

竜馬が突然ポツリとみんなに告げた。

「そうだな、みんな一旦家に帰ってみよう。そして駄目だったらもう一度どこかに集まろうか。」

「どこに?」

「学校は閉まっちゃうだろうから、明るくて屋根のあるところというとやっぱりコンビニかなぁ。」

武士の提案にみなが賛成し一度各自の家に帰ってみることにした。そして上手くいっても駄目でも一旦コンビニに集まって結果を報告しあう。

「お嬢は遠いから僕が送っていくよ。竜馬は寄り道するなよ。どこぞのお姉さん家を覗くんじゃないぞ。」

「おおっ、その手があったか!サンキュー、武士!俺、望みが湧いて来たよ!」

ぱこん。

竜馬の軽口にお決まりの優子のげんこつが決まりその場は解散になった。


竜馬は駆け足で家路を急ぐ。

そして玄関を開けると何時ものように元気に挨拶をした。

「ただいまー!」

そして何時ものように台所に向かう。そこでは母親が夕飯の支度をしているはずだ。

「母ちゃん、腹へっ・・!」

気付いてもらえないかもしれないと恐れつつも元気に声を出して台所に入った竜馬だったが途中で言葉を失った。なんとそこにはすでに竜馬がいたのだ。何時ものように母親の邪魔をしながらあれこれと今日の出来事を話して聞かせる竜馬が。母親も目線こそ火から離さないが耳は竜馬の話を聞いていた。


「いやー、岩から落ちた時は目から火花みたいのが本当にでたんだよ。あれって漫画の世界だけじゃなかったんだね。」

竜馬のとんでも発言に思わず振り向く母親。すぐさま火を止め竜馬のおでこを確かめた。そしてそれほど酷い傷でないことを確かめ安心したのか料理の続きを始める。

「ばーか、わるさばっかりしているからバチが当たったのよ。」

「ううっ、母ちゃんが冷たい。あっ、なんか頭がクラクラしてきたよ。」

「ご飯食べれば直るよ。はい、これ持って行って。」

母親は炒めたばかりのおかずを竜馬に持たせる。

「ほーい。でもまた野菜炒めかぁ。」

「いやなら、食うな。」

「嘘です、母ちゃんの野菜炒めは絶品です。」

竜馬は母親から皿を受け取り父親が待つ居間に運ぶ。その際、竜馬の脇を通った。その時、一瞬目が合った気がした。そしてやつの口元が僅かにニヤついたように思えた。


-こいつ、俺が見えているのか?-


竜馬は偽の竜馬に詰め寄り肩を掴もうとして空を切る。やはり掴めない。やがていつも通りの夕食が始まる。竜馬は一人居間の隅でその情景を見つめている。偽竜馬もあれ以来、竜馬に気を向けない。本物の竜馬を無視した何時もの時間が流れていった。


なんで俺がここにいるんだ?こいつは誰なんだ?こいつは俺を一瞬見たよな?

竜馬の頭の中は疑問で一杯になった。両親に気付いて貰えないのはキツかったが、それ以上に偽者の存在が竜馬の心を支配する。


-俺は消えたんじゃない。入れ替わられたんだ。こいつは敵だ!-


竜馬の心に偽者への敵愾心が芽生える。やがて団らんも終わり偽竜馬は一人部屋に戻った。その後を竜馬も追う。そして二人っきりになった時、竜馬は偽竜馬に殴りかかった。しかし、竜馬のこぶしは偽竜馬を擦り抜ける。だが竜馬は攻撃を止めなかった。叫びながら何度も何度も偽竜馬を襲う。10分後、ベットで漫画を読む偽竜馬を、肩で息をしながら睨む竜馬がいた。竜馬の攻撃は全て空振りだった。偽竜馬は竜馬に殴りかかられていることすら意識していない。


-なんなんだ!なんなんだよ!-


入れ替わられた偽者を前にパンチのひとつも当てられず一人敗北を記した竜馬はとぼとぼと部屋を出て行った。その背中に偽竜馬が一瞬だけ目をやる。しかし、すぐに何もなかったかのように漫画のページをめくった。

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