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食料調達増量計画

「はい、ではこれから食料調達増量計画を話し合いたいと思います。みなさんどんどん提案してください。」

翔太が司会となって会議を始める。

「コンビニの弁当はありがたいが、さすがに一日弁当1個じゃ体力が続かない。かといって女の子たちはいっぺんに2個は食べきれない。残しておいても今の季節、傷んでしまい昼間までもたない。冷蔵庫は俺たちの弁当を冷やさないのは確認済みだ。だからせめて夕方にも何か食べれるようになりたい。」

武士が提案した。

「手紙には自分で育てた作物は手に取ることが出来たとあったわ。私たちも何か育ててみる?」

「今から育てて間に合うのかなぁ。」

「その前に種が手に入るか疑問だね。さすがに種は滅多に捨てないだろうから。」

「じいちゃんは、余った苗木なんかはまとめて隅に放置していたけど、あれはまだじいちゃんのモノ扱いなのかな。」

「あ~、どうだろう。試してみる価値はあるね。」

「くーっ、俺はジュースが飲みたいぜ。さすがに水だけだと堪えるよ。」

「ジュースは普通飲みきっちゃうし、飲みかけはいくらなんでも嫌だわ。」

「いや、俺は我慢できるぜ!誰かコーラを忘れていけ!」

翔太の言葉は冗談ではなく本気だった。たった3日のジュース絶ちだが甘味に慣れきっている現代の子供たちにはきついのかもしれない。


「夕方前に食べ物を捨てるとこって思い付かないなぁ。」

「そうね、大抵お店の中に仮置きするから触れないし。」

「川で魚を捕るか山で木の実を拾うかぐらいかないんじゃないか?」

「魚が捕れても料理なんか出来ないわよ。火が使えないんだから。」

「あっ、そうか。火起こしなんかやったことないもんな。誰か経験ある?」

大地の問い掛けに全員が首を振る。

「どっかにライター、落ちてねえかな。くそっ、たかが火ひとつ起こせないとは情けないぜ。」

「今は天気がいいんだから天日で干したらどうかな?」

「あれって、ただ干すだけでいいの?塩とかかけるんじゃないの?」

「わかんねぇ。というより野良猫辺りにかっぱらわれそう。野生生活はあいつらの方が先輩だからな。」

「それより保冷出来るように工夫できないかしら。例えば川の中に沈めるとか。」

「おっ、それはいいかも。明日試してみよう。でも俺たちで傷んでいるかどうか判るかなぁ。」

当たり前のように冷蔵庫があり食料を長期、安全に保存できる現代では傷んだ食べ物を口にする機会はほとんどない。経験がないのでどこまでがセーフなのか8人には分からなかった。

「パンとかが捨てられていればいいのにね。」

「パンかぁ。そう言えばパンは廃棄物の中に見た覚えがないなぁ。あれだって期限はあるよな?」

「売り物の食品には全部あるわ。ただ菓子パンやスナックは期限が長いから大抵売れちゃうのよね。その点、お弁当は半日とかだから。」

「半日かぁ、すごいな。ウチのおかずなんて人気がないやつは3日くらい平気で食卓に出てくるぜ?」

「冷蔵庫様さまね。でも売り物ではそんなリスクは負えないわ。食中毒でも出したらみんなに叩かれるもの。」

「ペットボトルに破片が入っていただけで大騒ぎするからな。」

「一部の人だけね。後はマスコミ。あの人たちって他人のミスをてぐすね引いて待っているから。」

「マスコミかぁ。俺たちのことがマスコミにしれたら大スクープだよな。あの祠なんかずらーっと報道のカメラで取り囲まれちゃうぜ。で、誰かが花を踏ふんずけて一蓮托生。変わりに俺たちがご生還とかならんかね。」

「馬鹿なこと言ってないでちゃんと考えてよ。」

「火に関しては、商店の事業所ごみより家庭ごみを漁った方が確立は高そうだな。なんだっけ?不燃焼の日とかあるんじゃなかった?」

「不燃物よ。後は資源ごみと燃えるごみ。それぞれ出す日が決まっているの。」

「資源ごみに関しては来週みんなで見てみよう。何か使えるものが手に入るかもしれない。夕方の食料はスーパーと商店街を一通り調べよう。何か僕たちの知らない掘り出し物があるかもしれないしね。」

「なぁ、給食の残りは駄目かなぁ。来週はカレーの日があるんだけど。」

「おっ、いいね!是非とも試そう。出来れば偽者たちの給食を食べちゃいたいぜ!目の前で揚げパンが俺に食われたら、あいつさぞかし悔しがるだろうなぁ。」


「でも、こうして考えてみるとお店とお金って偉大だわ。スローライフは素敵だけどそれだって何でもかんでも自給しているわけではないですものね。」

「おっ、何だ桃子。先生をやめて今度は農家の嫁か?あれはあれで大変らしいぞ。おばさんなんか母ちゃんに会うたびにグチっているよ。サラリーマンの男にしておくんだったって。」

「馬鹿。」

「あっ、あのぉ。」

「おっ、何だ、未来もなんか思い付いたか?」

「今日、寝るところはどうするの?」

「あーっ、くそっ、忘れてたよ!偽者め、小ざかしい真似をしやかって!」

「そうだな、どこか雨が凌げて出来れば布団がある場所を探さないとな。」

「学校の保健室は?」

「保健の先生が帰ったら鍵が掛けられるから無理だな。」

「家具屋のベットコーナーは?」

「悪くないけど朝、外に出れないよ。飯を食いっぱぐれる。それにあそこは遠いいよ。」

「いっそ、病院のベットとかに患者さんと一緒に寝るか。病院なら鍵はかけんだろう?」

「絶対いや!」

「しょうがない、干草でも敷いてベットを作るか。あーっ、虫がでそうだ。いや、今の季節干草自体が手に入らないか。」

「外は勘弁してほしいわ。虫が寄ってくるんですもの。」

なんやかやと案は出るが、これだ!という妙案が浮かばない8人であった。

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