ラムとセイ
「説明ごくろうさん。あと一つだけ聞きたいんだがスキル【女神の加護】とその横いろいろ書いてあるんだけどわかるか?」
「わかりますよ。加護はその意味の通り、女神様から与えられた力のことです。その横に書かれているのが加護の具体的な内容です。そこを意識すれば内容もわかると思いますよ。」
羊モドキに言われたことを確認するためにステータス内の【女神の加護】の各力を意識すると説明が表示される。
真理:万物の情報を得る。
上昇:死なれちゃ困るからとっと強くなれ!
修得:全てを得ることができなくもないかも…
影響:おしゃれな服を広めて私に届けて!!!
…なんだよこの説明。
真理以外が変態の解説じゃねえか!
しかも、欲求満たすための加護かよ。
万物の情報ねぇ。
情報ってどうやったらわかるんだ?
使い方がわからず、聞いてみるかと羊モドキに視線を送ると先程までなかった文字が横に浮かんでいた。
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羊モドキ(仮)
種族:フェアリーシープ 年齢:1
level:1
【筋力】5
【耐久】15
【俊敏】7
【器用】8
【知力】20
【魔力】15
【運気】35
スキル
【風魔法(level1)】
【女神の加護(叡智)(幸運)(※※)】
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…見えたな。
こいつの加護の方がまともに感じるのは俺だけだろうか。
いろいろとツッコミたいが我慢し、口を開き笑いたいのを必死に我慢しながら聞いてみる。
「お前の名前って本当に羊モドキなんだな…」
「ちが、違います!それはまだ名前がないからご主人様の呼び名が名前になっているだけです。羊モドキとか嫌です~」
俺の呼び方で名前が決まってたのか。
泣きそうな声でプルプルしてるのを見てると流石に可哀想に感じるな…
ここで名前を付けてやるのが王道だよな。
「羊モドキがいやなら、ラムってのどうだ?」
「ラムですか…うん!いいです。気に入りました!」
どうしよう…
羊=ラム肉で連想して言ったので、喜ばれると罪悪感を感じてしまう。
「喜んでくれてなによりだよ。」
「はい、ありがとうございます。それで今更ながらなのですがご主人様のお名前をお聞かせ願えますか。」
名前か…
ステータスにはNo Nameで地球上での名前が旧と言うことは新しい名前が持てるのか?
カッコイイのにしたいけど厨二過ぎても恥ずかしいしな…どうしたものか…
「セイ…名前はセイ=クローズだ。」
「セイ様ですね!」
「様とかいらないから」
「わかりました。セイさんと呼ばせて頂きます。」
あるあるやり取りをしながらステータスをチェックしてみるとNo Nameからセイ=クローズへと変わっていた。
日本の名前に慣れ親しんだ為か横文字の名前はなんだかこっぱずかしい。
この後も何度か質問を繰り返し、ある程度この世界のことがわかった頃には一時間ぐらいが過ぎていた。
グゥ…
話に集中していて忘れていたが話が一段落してお腹が空いていたことを思い出す。
「なぁ、この辺りで食料って手に入るか?」
「この大森林には豊富な果実が群生しているはずですが、何処にあるかまでは…」
「食い物があることがわかれば十分だ。善は急げだ、早速探しにいくぞ。」
「ちょっと待ってくださいよ~」
食い物があるとわかり、空腹に堪えられなくなった俺は小走りで洞窟の出口へと向かっていく。