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おばぁの才覚

ピシャッ……ピシャッ……



耳元の近くで雨粒の音がする。

一度気になりだすと耳につく。



ピシャッ……ピシャッ……



普段なら気にならないのだろうが、凄く不快に感じ眠気を妨げる。

あと、5分だけ寝たいのに…

そう言えば、さっきもあと5分って思ったような…

俺は何をしていたんだ…

思考し始めると記憶がフラッシュバックし、途端に意識が覚醒する。


目を開け辺りを見回す。

薄暗いが真っ暗闇と言うわけではない。

目を凝らせば数メートル上にゴツゴツとした岩肌のようなものが目に入る。

床は土で左右も数メートル先に岩壁があるため、洞窟の中なのだろうと検討をつける。


体に異常がないか確かめながら自分の状況を改めて考える。


ここが店の中でないこと、変態との会話をはっきりと記憶している、そして今洞窟の中だといことが夢でなく現実に転生したという実感が込み上げてくる。


「にしても、何で洞窟なんだ…」


服を作らせたいなら普通街中だろ。

絶対にミスだと思われる状況に無性に変態の頬をつねりたくなる。


「あの~」


神なら念じることで頬をつねれるのではないかとアホな思想に耽っていると足下から声がかけられる。

目線を下げると


「ひつじ?でも、今声がしたような…」


「はい…僕です。」


足下に居たのは、たぶん羊だった。


たぶんと言ったは異世界に羊が居るかわからないのと、そもそも小型犬程度の大きさの成体の喋る羊モドキを羊と呼んでいいのかわからないからだ。


グゥ~


この未確認生物についてあれこれ考えてると唐突にお腹が鳴る。

そう言えば休憩に入る前に転生したからお腹も減るか…

羊モドキにも聞こえていたのか目線が交差する。


「食うか」


「えっ…僕をですか!?僕は神様より命を受けて貴方の案内役を賜ったフェアリーシープですから食べちゃダメですよ!」


「やっぱり、羊なのか。じゃあ、ジンギスカンだな!」


「まだ食べようとしてる。だから、食べちゃダメですよ~」


変態の名が出てきたのでからかってやると泣きそうになりながら抗議し、小さな体をプルプルさせている。

にしても、腹減ったな…

マジで食ってみるか…


「ちょっと!ヨダレ出てますよ!本当にダメですよ!」


「チィ…わかってるって」


「今舌打ちしました?何でそんなに残念そうな顔するんですか」


「うるさいな…それで案内役って何なんだ?」


「はい。神様がこの世界知らないご主人様のサポートするよう仰せつかってきました。」


「サポートねぇ…」


羊モドキに何ができるのかと疑惑の眼差しを向ける。


「疑ってるでしょ!ちゃんと神様からご主人様のサポートに必要な力は授かっているので任せてください。」


「それなら、手始めにここはどこだ?」


「洞窟です」


「チェンジで!もしくは今すぐ食わせろ」


「どっちもい~や~」


一瞬でも変態に期待したのが間違いだった。

質問の意図も理解できない見たらわかることを答える羊モドキにジンギスカン以外の使い道があるのだろうか…


「じょ、冗談ですから怖い顔と手を下ろしてくださいよ…」


「俺は空腹で気が立っている。次ふざけたらどうなるかわかるよな?」


小さな体をプルプルさせながら必死に頷いている。


「ここは大森林ホルンの森の何処かだと思います」


「なんでそんな不確かな感じなんだ?」


「僕も神様にご主人様のもとに送られる際にホルンの森は危険が一杯だから気を付けてねって言われただけなんで正確な場所はわからないんです。すみません…」


空腹のせいだろうか、変態に対する苛立ちが殺意に変わりそうだ…


「はぁ…うだうだ言ってても仕方ないか。他に変態は何か言ってたか?」


「服を『ドン』ひぃっ!?」


「それはいい…」


変態は俺の感に触るポイントよくご存じのようで、思わず足下の岩を踏み抜いてしまった。


「なぁ」


「はい、何ですか?」


「この世界の岩ってこんなに脆いのか?」


「そんなことないですよ。単純にご主人様の力が強いからだと思いますよ」


「いや、俺に岩を割るような力はなかったと思うが…」


「それならステータスを見ればわかりますよ」


「この世界はステータスを見れるのか?」


「もちろんですよ。というかステータス見ないと強くなったかわからないじゃないですか」


羊もどきの顔の変化を読み取れないがバカにされたのはわかったが、一々つっかかるほどキレキャラでもないので話を促す為に堪える。


「そのステータスはどうやったらわかるんだ?」


「ステータスオープンと唱えるか念じればでますよ」


「…ステータスオープン」


胡散臭いと思いながらも唱えると言葉に反応し、頭の中に文字の羅列が浮かび上がる。



――――――――――――――

No Name (旧名:服屋 邦正)


種族:人族 年齢:15


level:1

【筋力】26

【耐久】16

【俊敏】19

【器用】52

【知力】28

【魔力】32

【運気】3


スキル

【錬成 (level4)】【裁縫 (level4)】【裁断 (level4)】【付与 (level5)】

【女神の加護 (真理) (上昇) (修得) (影響)】


――――――――――――――――



「本当に出たな…」


「でしょ!僕も役に立つでしょ!」


喉まででかかったゲームかよ!と言うお約束のツッコミは置いておき、羊モドキのどや顔もスルーして頭の中に浮かんでるステータスを見直す。


いいのかわからん…

てか、【器用】に極振りとかあの変態俺にどれだけ服作らせる気だよ。


「なぁ、普通ステータスってどんな感じなんだ?」


「普通ですか…人族ですと平均して10~15ぐらいで鍛えたりして20に届けば優秀な方だと思いますよ」


そうか。平均が15ぐらいと見てもかなり高ステータス…って運が異常に低い!


3って!運が低いからトラックと激突し、変態に会い、洞窟に飛ばされたのだろうか…


「質問ばかりで悪いんだが、次にスキルとレベルについて教えてくれ」


「かまいませんよ。僕はご主人様をサポートするのが仕事なんで何でも聞いてください。簡単に言いますとスキルは才能や資質でレベルは力量や技量を表してます」


更に説明は続き

スキルは先天的に持っているものもあるが鍛練によって後天的に得ることもできるそうだ。

レベルは5段階で

level1で使える

level2で手練れ

level3で一流

level4で達人

level5で境地になり、その歴史に名を刻むほどらしい…



裁縫と裁断の達人ってどこの地方のおばぁだよ…


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