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赤メガネの中に隠された幻 その2
ファァ…。
結局オールしてしまうというオチ。
鏡を見ればクマがハンパない。
しかも…期末初日に寝坊。
朝飯食わずにダッシュ。
ギリ遅刻。
あと10秒早ければなぁー…。
教卓では担任が出席を確認している。
「七瀬、遅刻ねー。」
別に10秒くらいいいじゃないか。
ケチ女めが。
横では松川が受講姿勢に切り替わっている。
まぁ、大丈夫だ。
松川には負けないからな。
どう考えても松川には負けない。
松川には勝つ気しかしない。
問題はクズ委員長だよな。
もしかしたらあいつは一位を狙って物凄く勉強をしているかもしれない。
それは俺にとって最大の危機であった。
大丈夫だよな。
きっと今回も学年トップになれるはずだ。
そう自分に言い聞かせてアイドリングに入った。
一応松川に話しかけとこうかな?
「松川ー、勉強の方はどうなんだ?」
「いやぁ、私、バカだからねぇ。どうだろ?」
よし。こいつには勝てる。
「まぁ頑張れよ。」
俺はそう松川に伝え再び前へと向き直った。
そのときに視界のすみで松川が赤メガネに隠れて『ニヤッ』と笑ったような気がした。
……まさか…だよな……?