思い知るがよいっ!朝倉詩織っ!
朝から委員長がいない。
なんだろな……っと思って席につくとすぐに理由が分かった。
俺の横では松川が膨れっ面でイライラしている。
その表情がまたとてつもなく可愛いのだ。
……いや、今のはなんでもない。
忘れてくれ。
……でもこの表情からするとクズ委員長が朝から他のクラスの男子にアンケート用紙を配りにいったのかな。
あーぁ。
一番早いのはこの爆EXを見せびらかして
「ほら見ろ!これが松川の仕事だ!」
と言うことなんだろうけどそんなわけにはいかないだろうな。
…あっ、クズ委員長。
おかえり。
アンケートは放課後にでも集めるのか?
…いや、委員長が何か紙を見つめてイライラしている。
もう結果は出たっぽいな。
「ちょっと!松川さん!あなた一体何者なの!?ほんとに学年の男子の七割以上があなたのこと知ってたじゃないの!」
さて、何者かと聞かれてグラビアアイドルなどと素直に答える高校生がいるのだろうか。
うん。そんなバカはいないだろう。
「なに?それって答えないといけないの?じゃあ教えてやるわ!私が何をしているのか!」
嘘だろ!?
こいつは馬鹿か!?
「私の職業はね。モデルよ!男子用の雑誌のモデル!」
……びっくりした。
ガチで焦ったわ。
てっきりグラビアアイドルってバラすのかと思ったわ。
確かにモデルだと間違ってはないもんな。
さすが松川。
「……なるほど…。参ったわ。今回は私の負けでいいわ!」
おぉ。こりゃ驚いた。
まさかあの委員長がこんなあっさりと引き下がるとは…
「でも次は覚えてなさいよ!」
んなわけないか。
うん。一瞬でも委員長が引き下がったと思った俺が馬鹿だった。
だよな。
こいつが引き下がるわけないもんな。
てか次ってなんだよ。
もう無いだろ。
どうせまた負けるだけなんだからやめとけばいいのによ。
クズ委員長に言っても無駄か。
視界の右端で爆EX組が飛び跳ねて喜んでいる。
委員長はそれをギロっと睨んでからツカツカと去っていった…。