破天荒転校生松川琉美
あいつが転校してきたのは今年の夏休み前
…だったかな。
正直覚えていない。
俺は普通にいつも通りに登校して自分の席について寝ていたのだろう。
威勢良く教室に飛び込んできた担任に驚いた。
「今日から皆さんの新しいお友達ができまーす!」
だってよ。
俺たちは小学生扱いか。
てか新しいお友達…?
それって転校生ってことか?
男?女?それともオカマ?無性別?
「松川さん、入ってきて」
さん…?
ってことは女か…。
などと思っているうちにガラッとドアが開いた。
パッチリとした目にキュッとした唇。
軽く茶色がかったセミロング。
身体は……うぬ。
見事なナイスバディ。
……ん?
やけに爆EX組がザワザワしている…。
あっ、ちなみに爆EXというのはまぁ、雑誌である。
どのジャンルの雑誌なのかは……分かるよな?
ちなみに俺の愛読の雑誌は青春bomberである。
俺は別にに爆EXほどの過激さは求めていないのでな。
「えっと…松川琉美です。芸能事務所に所属しているので出席率は低いと思いますがよろしくお願いしますっ」
…声も可愛いな。
ダメだ。
どうした、俺。
「それじゃー…よし!席はあそこね。」
なんだよ、担任。
今、お前が指している席はまさに俺の隣ではないか。
これは奇跡か!?
神様はやっぱりいたのか!?
そして俺は気づいた。
爆EX組に物凄い目つきで睨まれていることを。
…ったく、なんなんだよ。あいつら。
可愛い転校生の隣の席になって何が悪い!
それも結局はお前らのくじ運が悪いせいなんだよ!
…にしても可愛いなぁー。
琉美ちゃんだっけ?
事務所?なんの事務所だろ?
……にしてもどこかで見たような…気のせいか。
しかし、それは全くもって気のせいではなかったことを俺は数10分後に知らされる。
休み時間。
爆EX組の友達に試しに借りた爆EXが読みかけだったことを思い出し、ダッシュで机の影に隠れて読む。
「何読んでるの?」
その声の持ち主は紛れもなく松川琉美だった。
やばいっ!見られたっ!
転校生に初日に見られるとは……。
なんて可哀想な俺。
「あっ!爆EXじゃんっ!読んでくれてるんだー」
ん?何故女子が爆EXの存在を?
てか何故そんなノリノリなんだ?
てか…ん?読んでくれてる?
どういう意味だ?
慌てて閉じた爆EXの表紙を目にして俺は一瞬にして肝を抜かれた。
『特撮インタビュー〔松川琉美〕』
どういうことだ?
何?転校生がこんな雑誌のグラビアアイドルだと?
笑わせるな。
どうせこれも何かの間違いに決まっている。
しかしそれから3秒後には嘘じゃないことが発覚した。
「私なんかが表紙になって良かったのかな…?」
はぁ?
一体こいつはさっきから何をペラペラと喋っているのだろうか。
そう。
俺の馬鹿なお願いごとによって見事に転校してきてしまった松川琉美は爆EXのグラビアアイドルだったのだ。
そりゃ爆EX組に睨まれるに決まっている。
事務所だって納得がいく。
あぁ、俺はとんでもないことをしてしまったようだ。
どうか神様、嘘だとおっしゃってください。
俺の地味でありながらも平和なスクールライフはこいつの転校により崩れていくのであった。
涼宮ハルヒの読みすぎかしら……。