操脳
やっぱウィルはじかいだしまふ
――第3街開発特区――
キャリックは驚いた。
開発特区というのに民家や人の気配すらなかったからだ。
「ひどく閑散としてますね」
「普段は活気ある街だ。すでにウィルの手が及んでいる」
突如、ものかげから武装した複数の人間がキャリックらをめがけて襲ってきた。
「ちっ、チンピラがくだらない真似を…。キャリック、そっちは頼んだぞ」
「任せといてください」
チンピラはなにもいわず斧をキャリックめがけて振り下ろしてきた。
しかしキャリックはひらりとかわす。
「おっせぇなあ!チンピラども!キャリック様の華麗な剣さばきをとくとごらんあれ」
キャリックはそういうと韋駄天のごとくスタートダッシュをかけた。
「神速斬!」
キャリックは目にもとまらぬ速さでチンピラ4人を切り捨てた。
「残るチンピラはお前だけだな」
キャリックは刃先をチンピラにむけた。
しかしこの状況でチンピラは笑っている。
とち狂ったのか?
いや違う。
あざ笑っていると言う表現が正しいだろう。
チンピラはロケットランチャーを取り出し、キャリックにむけた。
(ロケットランチャー!?しまっ―――)
放たれた弾頭は勢いよくキャリックを貫いた
はずだった。
しかし弾頭はキャリックの腹に届く前にまっぷたつに切断されていた。
爆発すらさせない見事な切り方だった。
切った人は黒いレザーコートを着ている。
「コ、コール先輩!」
チンピラはあわてて弾をセットする。
「遅い」
コールはチンピラを瞬時にXの字に切り刻んだ。
「コール先輩、助かりました。普通のチンピラにやられそうになるなんて――――」
「気を抜くな!もう少し遅れていたらお前は死んでいたぞ!」
コールはきつく叱る。
「以後気をつけます…」
「それにこいつらは普通のチンピラじゃない。恐らくウィルに操られている」
「ど、どういうことですか!?」
「あいつのMIMは脳を操ることに特化している。そこらのチンピラを集めて操っていたにちがいない」
キャリックはうなずく。
「確かにおかしいですよね。チンピラやギャングにとってナイトは天敵…。普通なら襲ったりしないはず…」
「正解」
いきなり2人の脳の中に言葉がながれた。
「キャリック…!」
「はい、聞こえました…!」
白いスカジャンをきた男が前から歩いてきた。
次こそウィルですよう