才能
あかさたナイト
「てことは迂闊に近寄れないってことですかね?」
「ああ。どんなふうにMIMを使ってくるかわからないが…。記憶を消されたらあいつは一生かかっても倒せないだろうな」
コールは険悪な顔をして頭をかいた。
「なに弱気なこと言ってるんすか先輩!らしくないですよ!まだ闘ったこともない敵に―――」
「闘ったことはあるよ」
コールの唐突な言葉にキャリックはおもわず固まってしまった。
「名前はウィル=ソロモン。中学までは同じ学校に通ってた。仲もよくて2人で悪さばかりしていたよ」
コールは懐かしそうに話す。
「だがあいつは自分がインテリだとわかったとたん、一般人やナイトを見下してきた。俺はあいつの正気を取り戻そうと一戦かわしたんだ」
「どちらが勝ったんです?」
「ウィルだ。あいつの力は生半端なものではなかったよ」
………。
しばらく無言の空気が続く。
その空気を先に断ち切ったのはキャリックだった。
「やっぱ世の中インテリなんすかね…。所詮、俺たちは出来損ないの一員なんでしょうか?」
「さあな。だが治安を守るのがナイトの仕事だ。相手が誰であろうと勇敢に立ち向かわなければならない。勝ち目がなくても、それが友達でも」
コールはどこか悲しそうな顔をしていた。
当たり前といえば当たり前なのだが。
「さあ、キャリック。準備をしろ」
「でも場所は…?」
コールは複雑なマークやルートを記した地図を机においた。
無論、キャリックにわかるはずはない。
「キャリック、あまりみるなよ。知恵もないのに知恵熱でも出されたら困るぞ」
コールは微笑を浮かべ黒いレザーコートを着た。
黒いレザーコートはナイトの中でも特に実力がある者のみが着れる戦闘服だ。
もはやコールは臨戦態勢に入っていた。
「第3街開発特区にいる可能性が高い。いくぞ」
キャリックは剣を手に取り頭上でぐるぐると振り回した。
さあいよいよウィルがでてきますゆ