表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

皆既月食マン参上!

「俺の名は皆既月食マン! 人呼んで月食マン! 赤い身体が俺のチャームポイントだぜ!!!」


 と、大都会の街中で叫ぶ彼。周囲の人たちから冷ややかな目線で見られている。


「うーん、……反応が薄いなあ。」


 困り顔の彼はさておき、街の大きな電光掲示板はとあるニュースを流している。


「予言により地球が滅ぶ日は明日に迫っています。来たる皆既月食の――」


 このニュースは全世界中で広まっている。故に、街中で月食マンを見る目は冷ややかなものだった。


「その冗談はよ、面白くねぇんだよッ!」

「いたっ」


 月食マンは通りがかりにプラごみを投げ捨てられる。この行動は瞬く間に伝播し、道ゆく人の大勢が月食マンを非難した。


「その格好やめろ!」

「冗談になってねぇんだよ!」

「死ね!」

「いたた痛い痛い! 全く、モテる男はツライなあ。」

 

 罵声が入り混じり、辺りは大混雑。


 そんな混沌に、一つの救いの手が差し伸べられた。


「……こっち。」

「え?」


 とある誰かが月食マンの手を引っ張って連れ出す。月食マンは流されるままその謎の人物についていくことになった。


 走って逃げて、たどり着いたのはどこかも分からない路地裏。謎の人物も月食マンも息を切らしていた。


「はぁ……はぁ……君、何だかよく分からないけどありがとう!」

「ふぅ……どうも。」


 謎の人物は、平均的な背格好の男性だった。月食マンもまたその特徴をなぞっており、二人の体格背格好はよく似ていた。


「初めまして月食マン。いきなりでごめんだけど、僕の家でちょっと話さない?」

「おぉ! やはりモテる男はツライね! ご一緒しよう!」


 こうして二人は連れ立って、男の家に向かった。


 *


「はい、飲み物。」

「ありがとう!」


 男は月食マンに上品げな紅茶を差し出し、月食マンはそれを一飲みで飲み干した。


「早速聞きたいんだけど、月食マン。」

「何かね?」

「月食マンがこの地球に来た目的って?」

「あぁそれかい! よくぞ聞いてくれました!」


 月食マンは両手を広げ、声高に言った。


「俺の目的は地球を皆既月食と同じ赤に染めること! つまりは人類を含む動物の皆殺しだ!」

「そう……。」


 月食マンの自信満々な答えに対し、男の返答は簡素なものだった。まるで彼の答えに残念そうな声色である。


「ならば、僕と君は戦わなくてはいけないね。」


 刹那、月食マンの右ストレートが男の腕を切断した。


「やはりそうか! お前は……」


 腕の切断部から、緑色の体液が漏れ出ている。


「お前は地球を緑色に染めんとする悪の存在! 人呼んで緑一色(リューイーソウ)マンだなッ!」

「その通り。僕の目的は地球を緑に染めるために植物を全て殺すこと。君の赤い血は必要ないから、最初に殺しておかなきゃ。」

「黙れ! 死ね! 麻雀の世界に帰れッ!」


 かくして戦いは始まった。互いの気で家が爆破し、周囲一帯は更地になった。


「クソ……お前のせいで地面が茶色になってしまったじゃないか! 塗り直さないと……」

「こっちのセリフだよ。お前の血はここに隠しておくことにしよう。」


 緑一色マンの腕は切断箇所から再生し、さらにその手から緑色の気弾を放った。


 月食マンは間一髪で避ける。すると気弾はたまたまそこら辺にいた人に直撃した。


「うわぁあぁああッ……あぁ……」


 人間の身体はどんどん植物になっていき、最終的には緑の体液を吐き出しながら絶命した。


「お前! よくも俺のペンキを!」


 すると月食マンは激昂して赤い気弾を放った。


「当たらないよそんなの!」


 緑一色マンは避ける。すると避けた先にはまた人がいて、そいつが赤い気弾に直撃した。すると


「うぶぶ……おぶぉえぁあ……!」


 全身が風船のように膨らみ始め、自我を失いながら緑一色マンに突撃した。


「何ッ……!」

「おぼぶぉえぇえ!!」


 緑一色マンに近づいたタイミングで、その人間は爆発した。大量の赤い血が爆ぜ、緑一色マンにびちゃびちゃ直撃する。


「はっはっは! 赤一色マンになっちゃったな!」

「……こんな屈辱は初めてだ。お前も緑に染めてやる!」

「やってみたまえよ!」


 こうして戦いはより熾烈なものと化した。


 一日後。


 人類は消滅した。


 そして植物も消滅した。


 海とかも消滅して、残ったのは所々が赤と緑で彩られた大地だけだった。


「はぁ……はぁ……」

「はぁ……ゔぅ……、はぁ……」


 二人とも困憊しきって、立っているのもやっとだ。


 だが生物が根絶した今でも、二人の闘志はまだ消えていない。


 大地は所々赤と緑になったが、まだ大半は茶色だからである。つまり、まだまだ染め足りないのだ。


「まだまだ……地球を赤にするまでは!」

「緑一色にするまでは……!」


 二人は互いに赤と緑の血を流しながら微笑んだ。


「「俺たちの戦いは終わらねェッッ!」」


 こうして、彼らの戦いはこれからも永遠に続けられるのであった。これが後世に語り継がれる超次元スプ○トゥーンである。


 めでたしめでたし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ