episode.3 少女との再会
短めです。
昔の事を回想しているうちに、山頂が見えてきた。
スノードロップが敵国に捕まった後、僕たちは一度も出会うことはなく、彼女と会うのはおよそ4年ぶりだ。彼女の顔を見た時、僕は何と声を掛けようか。
そんなことを考えていると、スノードロップの方から僕に近づいてきたので声を掛けようとする。
「久しいね、スノードーーー」
しかし、僕が話を終える前にスノードロップは僕を撃った。
僕が不死身なのを知っている上で攻撃を行うということは、あちらに会話を交わす気がないということだろう。
また会話を試みようとするならば、再び撃たれると考えた僕は刀を抜き、彼女を斬りつける。避けるか反撃をすると思ったが何も抵抗せず、ただ斬られた。刀身は確実に彼女を捉え、身体を一刀両断したはずだ。しかし、手応えを一切感じない。答えを得ようと彼女を見るが、その瞬間数えきれないほどの銃弾を浴びることになり、その場で倒れた。
「な…………ぜ……」
声を発し、彼女の方に手を伸ばすが、冷酷な眼をこちらへ向け、伸ばした手に銃口を向けられ、再度撃たれた。
―――
「よくやったなスノードロップよ。これで私はサンプルを手に入れることができた。協力感謝する。」
「そんなことより私が持っていた形見を返して。彼を捕まえる代わりに私に形見を返すっていう契約。」
「そんなこと言われなくともわかっている。私は契約を破らない。だがスノードロップよ、お前はどうだ。」
「どういうこと?アイビーならちゃんと捕まえた。後はあなたが持ち帰るだけ。」
「では聞くが、何故不死身と言われているアイビーは気絶なんかしている。お前の能力では、アイビーを気絶させることさえ不可能なはずだ。何故なら、アイビーは過去にお前の攻撃を何度も受け、耐性が出来ているはずだからだ。」
…………
「まぁよい。どのみち抵抗したところでこいつが実験体になることは確定事項だ。形見は返してやる。結局我が国ではこれがなんなのか解明出来なかったしな。こんなガラクタに研究時間を費やすより、アイビーの能力を解析し、早急に……っとこれ以上は言えないか。スノードロップ、お前はもう用済みだ。元の国にでも戻るが良い。ただし、我々の計画を邪魔しようとするならば容赦はしないと言うことを胸に刻んでおけ。」
「はい。ではこれにて失礼します。」
―――
僕は気絶したふりをしながら、スノードロップと敵国の研究者が話している内容を聞いていた。ただの研究者ならば、もしかしたら攻撃して逃げれるかもと思ったが、本能が戦闘をするのは危険だと警鐘を鳴らす。今の僕たちに敵う相手ではないと。
何かスノードロップに策があるのかと期待していたが、特に何も無く、僕は敵国の研究者に捕まり、車の中に放り投げられた。
研究者が運転席に乗り、エンジンをかけ暫く走った頃だった。
「お前、気絶していないだろ。いい加減起きろ。さもないと二度と起きれないようにしてやる。」
「そんな手段あるんですか?」
「やっぱり起きていたな。いい子だから質問に答えてやる。お前を無力化する術なら幾つかある。閉じ込めることや、生命を停止させること、あとはお前の母親の場所を知っているからそれを餌にしていいように動いてもらうとかだな。」
「……母…親?」
「なんだ、そんなに会いたいのか?」
「母親なんて知らない。」
「何を言っているんだ。お前には…」
「知らない。知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない。あんな化け物は母親じゃない。どこ?ど、こ?今度こそ、みつける。」