〜8限〜
「ゆい、おはよー。」
「あ、りっちゃん。おはよう。」
この日のお昼、ゆいちゃんは一人で私の教室に来ていた。
「ねぇ、夏乃ちゃんいる?」
「あ〜。今日は休んでるよー。」
私はこの日、体調を崩して学校を休んでしまった。
ゆいちゃんが、困ってしまうんじゃないかと思い、最初は我慢してでも学校に行こうと思っていた。だけど、玄関に行き靴を履いてる時に意識が朦朧としてきて、倒れてしまった。
(はぁ…。)
自分の部屋には、母が運んでくれた。体の上には分厚い掛け布団があり、カーテンが閉まっているお陰か、落ち着くような薄暗さになっていた。
家には誰もいないせいか、耳鳴りが聞こえるほどの静けさが充満していた。
プルルル――
誰だろう。
電話を取ろうと、手に取ったスマホを覗くと、時間はもう15時27分になってた。
「…はい。もしもし。」
「あ!夏乃ちゃん?聞こえる?」
「え、あ、ゆいちゃん?もしもし聞こえるよ。」
「よかったー。体調は大丈夫?」
心配してくれていたようだ。早く体調を良くして学校に行きたいと思ったのは初めてかもしれない。
「うん。大丈夫だよ。明日は一応休むけどね。」
「その方がいいねー。明日、お見舞い行ってもいい?」
「え、面倒でしょ?大丈夫だよー。」
これが、友達なんだと今更思っていた。
「面倒じゃないよ。行くよ!」
「じゃあ、頼もうかな?」
ゆいちゃんは元気で強い女の子なんだと改めて認識した。
「そっか!お土産持ってくね!じゃあねー!」
深く息を吸い、思いっきり吐いた。そして、明日には熱が引くように、また寝ることにした。
8話まで出せました!ここから先の展開も楽しみにしていてください。これからも、読みやすい短さを意識して皆さんに楽しんで貰いたいと思います!