〜20限〜
「おはよー。」
「ゆいちゃん、おはよ。」
外から入ってきた朝日が顔を照らし、私たちは目を覚ました。
涼も「おはよ。」と、いつもの調子で体を起こした。
そして、朝ごはんを食べてから着替えた。
「あー!今日で旅行、終わりかー。」
「明日、朝の十一時に出発な。」
明日は昼の前に帰ることになった。
旅行前から決まっていた事だが、少し寂しい気持ちが込み上げてきた。
「でも、また来たいね。三人で。」
「うん!私、初めて来たけど、ここはいい所だよねー!」
「そうだな。」
布団を畳みながら、私たちは旅行の終わりを噛み締めた。
「この後どっか行くか?」
涼は寝室から晴れた空を見上げながら、提案した。
「他に何かあったっけ?」
「川で釣りするか?」
「あー。懐かしいし、やってもいいかも。」
「お!釣りするのー?」
そうして、私たちは近くの川に行くことになった。
川に着くと、緩やかな流れと心地の良い風の音が心を癒した。
「綺麗なところだねー!」
「今日は何釣るかなー。」
涼が釣り糸や仕掛けの準備をしながら、楽しそうに言った。
「いつも通り、アユとかでいいんじゃない?」
私は以前、こっちに住んでいた時にもよく釣っていた魚を推した。
「おっし。じゃ、やるか。」
涼がそう言うと、私たちは釣竿を持って、川に近づいた。
「釣った魚って食べれるー?」
ゆいちゃんが川に釣り糸を垂らしながらそう言うと、涼が呆れた様子で返した。
「俺の母ちゃんに弁当もらっただろ。」
「あー。そうだったー。」
ゆいちゃんは照れた様子で頭を搔いた。
しばらく経つと、私と涼の水を入れたバケツにはアユがたくさん入っていた。
ゆいちゃんのバケツにも三匹のアユが入っていた。
「そろそろ終わりにすっかー。」
「もう終わりかー。」
「俺らのはリリースするけど、中野のやつは塩焼きにしようぜ。」
「やったー!」
そうして、私たちは河原でアユの塩焼きを食べた。
「それにしても、中野が塩を持ってきてるとはな。」
「釣りに行くなら食べたいと思ってたんだよー。」
「でも、美味しいね。」
ゆいちゃんは、アユを頬張りながら市販の塩を見せてきた。
「でも、ここ焚き火しても大丈夫なんだねー。」
「うん。春とかはキャンプしてる人もいるよ。」
「おー!楽しそー!」
そして、私たちはアユを食べ終え、後片付けをしてから帰ることになった。
「あー!楽しかったー!」
「そうだね。私も久しぶりで、なんか懐かしかったよ。」
「そうだなー。俺も釣りしたのは久しぶりだったぜ。」
午前中に出かけたはずが、気付けば辺りは赤く染まり、強い光が瞳を揺らした。
今夜、眠ってしまえば、もうこの旅行は終わり。そんな気持ちにさせた。
「もう、終わりか……。」
「夏乃ちゃん!帰るまでが旅行だよ!」
「そうだぜ。明日、家に着くまでは旅行は続くんだからよ。そんな顔すんなよ。」
ゆいちゃんと涼は、笑顔でそう言った。
その顔には、夕日の光が反射し、とても輝いていて眩しかった。
「……そうだね。帰るまでが旅行だね。」




