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彼と  作者: むーん


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12/24

〜12限〜

 ――体育館


「えー、では、皆さんが充実した夏休みを過ごせる事を祈り、私の一学期終業式の閉式の挨拶とさせていただきます。」


 私たちは期末テストを終え、終業式を迎えた。

 テスト結果はみんな普通くらいだった。


「一同、礼!」


 ――教室


「あー。校長先生の話、長かったー。」


「そうだねー。って、ゆいちゃん!教室に戻らなくていいの?」


「そういや、中野は隣のクラスだったな。能城と一緒だもんな。」


 涼は今、気が付いた様子で言った。


「もう。早く戻らないとホームルーム始められないんじゃない?」


「あっ!ほんとだ。じゃ、戻るね。またあとでー!」


(作り笑いが少なくなってきたかな……?)


 私はゆいちゃんの後ろ姿を見送りながら、そう考えずにはいられなかった。

 あの日、屋上での出来事はゆいちゃんにとって、どう感じたのか。それは、私には分からなかった。


「……なーに、人の心配してんだよ。」


 色々考えていた私を見て、涼が声をかけてきた。

 私はなんでもないように返した。


「心配なんてしてないよ。」


「昔っから夏乃はわがまま言わないよな。少しくらい言ったら?」


「えー。でも欲しいものないし。」


 冗談交じりにそう答えた。


 ――放課後


「夏乃ちゃん!一緒に帰ろー!」


 帰りのホームルームが終わり、廊下に出るとゆいちゃんが走ってきた。


「そうだね。」


「お、帰るか。」


 涼がそういうと、三人で歩き出した。


 私たちはくだらない話をし、笑いながら帰り道を歩いていた。

 しばらく歩いていると、ゆいちゃんが「ね!二人とも、夏休みどうする?どっか行く?」と、提案した、


「うーん。そうだね。特に用事もないし。」


「俺も用事ないし大丈夫だな。」


「どこ行くの?」


 予定が空いてる事を確認し合い、私はゆいちゃんに尋ねた。

 すると、珍しく涼が一番に口を開いた。


「俺お盆の時、親の実家に行くんだけど。そこで、夏祭りあっから着いてくれば?泊まりで。」


「え!いいの?」


 ゆいちゃんは楽しそうに答えた。


「あ、そういえば、涼は毎年帰ってるんだっけ?」


 そう。私と涼は親の地元も一緒で、中学まではそこで育ってきた。


「夏乃は全然帰らないよな。」


「まあ、親がおばあちゃん達とあんまり仲良くないから。」


「あー、そうだったな。まあ、今回は俺の親の実家だし仲良いだろ?」


「そうだね。小さい頃はよくお祭りに連れて行ってもらってたもんね。」


 私たちがそんな話をしている時も、ゆいちゃんは夏休みに旅行をすることに対して目を輝かせていた。

 そんな姿を見て、涼はゆいちゃんにも話を振った。


「中野もそれでいい?泊まっていけそうか?」


「うん!お世話になります!」


「決まりだな。お盆の前日にいつも帰るから、そん時の朝、出発な。」


「おっけー。」


 私がそう返すと、ゆいちゃんも「りょーかい!」と、元気よく返した。


 高校に入って、初めての夏休みが始まる。

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