〜11限〜
――守ってくれる人がいる。それは、掛け替えないもの。
――守ってくれる人がいる。それは、幸せなこと。
――守ってくれる人がいる。それは、儚いもの。
きっと、いつかは終わる関係を、人はあえて意識しない。
「夏乃ちゃん、おはよー!」
「あ、ゆいちゃん。おはよ。」
今日は珍しく、学校の少し手前で会った。
「久々に一緒に行こー。」
そう。私とゆいちゃんは前にも一緒に登校した事があった。その時も、たまたまこの道で顔を合わせた。
「もうすぐ夏休みだねー。」
ゆいちゃんは、輝くような笑顔でそういった。
「あ、そういえばそうだね。でも、その前に定期テストあるよ。」
「え?まじで!いつだっけ……。」
ゆいちゃんは定期テストが一週間後に控えている事を忘れている様子だった。
私は、そんなゆいちゃんを見ながら冗談のように返した。
「来週だよ。忘れてたの?」
「だって、夏休みっていうビッグイベントの前に仁王立ちしてる定期テストなんか、霞んで見えるじゃん。夏乃ちゃんもそう思うでしょ!」
「……お、おぉ。」
ゆいちゃんの勢いに私は思わず圧倒された。
「でも、テス勉しないと赤点取っちゃうよ?」
「大丈夫!私、中学の時は一度も勉強しなかったけど、赤点取らなかったから!」
「そ、そっか。」
意地でも勉強をしたがらないゆいちゃんを見て、私は珍しく「ふっ……」と、素の苦笑いを浮かべた。
「ていうか、夏休みの予定とかの方が大事じゃない?人生に一度の高一の夏だよ?」
「まあ、そうだね。」
私は「おおげさだよ。」とでも返そうかと考えていたが、ゆいちゃんの言葉に思わず胸がズキっとした。
今日のゆいちゃんはなんだか、とても元気でいつもより活発だった。
――帰りのホームルーム
「涼くん、ちょっといい?」
「ん?どうした、湊?」
「今日、委員会があるんだけど用事があって俺が行けないんだ。だから代わりに行ってもらえる?」
「えーめんどくせー。」
涼はそう言いながら机に突っ伏した。
「そこは何とか!」
「えー。」
見兼ねた私は二人の会話に割り込んだ。
「涼、行ってあげれば?バイトとかしてないでしょ?」
「まあ、夏乃がそういうなら仕方ねぇな。」
「涼くん、ありがとう!」
涼がそういうと、湊くんは手を合わせて感謝をした。
「つか、夏乃にも礼言っとけよ。」
「そうだね。粼さんもありがとう!」
「うん。」
湊くんは私にも手を合わせて感謝をしてきた。
「ったく……。めんどくせぇけど、行くかー。」
「うん。じゃあ、私は先に帰ってるね。」
「おう。また明日な。」
「うん。」
会話が終わり、私は帰路に着いた。
まだ昼間のように明るく、夏の空が広がっていたが、少し春の匂いも残っていた。
この雰囲気は人を早く夏に飛び込みたくさせる。
「もうすぐ夏休みか……。」




