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新説 怪奇佰談  作者: モモル24号


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35/36

噂の怪その丗弐 何でも拾って来てしまう娘


 何でも拾って来てしまう我が子に困った事のある親御さんはいるだろうか。


 何でもの範囲が広すぎて、わかりづらいか。例えば動物。


 いまは保護活動を行う方々がいて、野良犬や野良猫は見かけなくなった地域もあることだろう。


 しかし、かわりに様々な外来の生き物は野放しになっていた。保護も退治も追いつかないのが現状といったところか。


 我が家は私と妻も共に働いていて、子供の送り迎えは交代で行い、たまに近所に住む妻の実家の義母がかわってくれた。


 この義母、悪い人ではないのだが孫、つまり私達の娘をとにかく甘やかすので困る。


 頼る私達も悪いのはわかっている。たとえ身内でも、価値観の違う他人に預けるのだから。


 ただ、何でも拾うのは止めて欲しかった。その日に娘が拾って来たのは、白く丸いボーリングの玉のような、青白く光る毛玉。


「おばあちゃんと一緒に拾ったの」


 部屋が真っ暗になると────跳ねるのだ。跳ねまくるのだ。青白く燃え盛るような輝き。跳ねてぶつけた先が、焼け焦げたかのように黒ずむ。


 バチッ───。何事かと思い部屋の明かりをつけた瞬間、得体の知れない輝きは消えた。


 テーブルの上には娘の拾って来た青白く光る毛玉のようなものと、部屋の隅には、以前娘が拾って来た猫のタマが黒ずんで亡くなっていた。


「タマ……」


 タマが暴れた形跡がある。光る毛玉と戦ったのか。室内に設置された見守りモニターには、光る毛玉が動き出した瞬間、タマが飛び掛かり動けなくなっていた。


 触れると生気を奪われて死んでしまうのか。しかし人が触れても害はない。得体の知れない光の玉。輝きは怨念の炎なのだろうか。


 何でも拾って来ては私に捨てられてしまう‥‥もし怨念ならば、打たれた瞬間に私もなくなったはずなのに。


 口では感謝しながらも、私が快く思っていない事を知った義母の意趣返しなのだろうか。


 タマを亡くして一番ショックをうけたのは娘だった。娘には、何でも拾ってきてしまうからタマが犠牲になったんだよと、諭して悪い癖を直させるのに利用した。


 本当に悪いのは私なのだ。良い親ぶりたくて、嫌われるような事をしたくなくて、義母にまで責任転嫁しようとした。


 義母にもその話を伝えた。タマと光る毛玉の話は眉唾ものだ。しかし義母に対しての思いや!自身の不徳を正直に話して謝った。


「人間誰しも自分が一番かわいいものだからねぇ」


 嫌味ではなく、年配者としての経験からくる言葉を発して許してくれた。義母との人間関係は悪くなったと思う。でも、それが当たり前の姿だった。


 娘も義母に甘えたり、困らせるようなわがままを言ったりしなくなった。義母は義母で私と同じように孫娘の成長を考えて、駄目なものは駄目と叱ってくれるようになったからだ。


 

 タマが亡くなって以来、娘が何でも拾って帰ることはなくなった。娘は娘でタマが亡くなった理由を、たどたどしい言葉で説明してくれた。


 拾われたのにまた捨てられたものの恨みが、拾われて幸せに暮らすタマに向かったというのだ。


 私達大人と、子供の見えている世界は違う。だから説明つかない存在も、この子達には見えているのかもしれないと思った。


 人間である私には怪異の気持ちなどわからない。だからあの光る毛玉がなんなのかは、娘の推論をもとに拾われ────ヒロワレと呼ぶことにした。


 「ヒロワレ」 が恨むのは、拾った主ではなく拾われたものに対してだ。拾ってくれる主を恨んで殺してしまっては、拾われる可能性をなくしてしまうからなのだろう。


 私の娘の何でも拾って来てしまう癖は、タマという犠牲があって治すことが出来た。


 もし同じようなお子さんがいるご家庭があるのならば、「ヒロワレ」 に魅入られている可能性があると忠告しておくとしよう。


 


 


 

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