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新説 怪奇佰談  作者: モモル24号


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噂の怪その廿玖 望みしものたちからのメッセージ


 作者(つくりしもの)は、隙あらば自分で作り上げた作品(せかい)で私たち登場人物(キャラ)を殺そうとしてくる。


 史実を描いた戦記物ならわかる。だって、あれは事実をもとに記されたものだから。


 誰が死んで、誰が生き残るのか、最初から決まっているから。


 すでに亡くなっているものを追った話しなのに、殺すなっていうのもおかしな話しになるだろう。


 だが、創作の作品(せかい)は違う。作者(つくりしもの)が意図的に作り上げた物語だからだ。生かすも殺すも作者(つくりしもの)が決める。


 どう殺されるのか、どうして殺されたのか、死ぬ事になった理由やそこに至るまでの秘められた物語があり、それが読む人を感動させるのは私たちにもわかっている。


 しかし作者つくりしものは、話しに詰まったり、話しを盛り上げようとしたりする時に、死神が刃で首を落とすように、私たちを()()で死に至らしめる。


 時には読者(よみしもの)たちが、やめろっと、制止するのを振り切ってまで。酷い話しだ。


 魔王よりもたちの悪いもの、それが作者(つくりしもの)という、それがこの作品(せかい)の創造主の実態なのだ。


 毎日、実に多くの作品(せかい)から、俺たちを、私たちを殺すなよ、という声が上がっている。叫びと言っていい。


 それを作者(つくりしもの)は、そうか、そんなに殺して欲しいのかと嬉々として殺そうとする。


 そうしてくれという振りじゃないんだ、心からの願いなんだと訴えても、一度作者(つくりしもの)が決めた運命に私たちは逆らえない。


 作者(つくりしもの)は、いったいどれだけ私たちを殺してしまうのだろうか。


 今日は思いとどまってくれてもフラグとやらが立つと、作者(つくりしもの)がその気ではなくても、死の道への前ふりを物語の中に落とし込み始める。


 この作者(つくりしもの)の持つ、無駄に高い能力(スキル)の一つだ。


 私を殺すためだけに、新たな登場人物(キャラ)を急造したり、壮大な仕掛けを用意さしたり、そういう時だけ展開作りが早いし上手い。


 私たちをあんなにも可愛がってくれた作者(つくりしもの)は、どこへいったのだろうか····。


 

 〜 私は明日殺されます 〜



 登場人物(キャラ)の一人から、また悲痛な叫びが声が上がる。


 展開に行き詰まった作者(つくりしもの)が、離れてゆく読者(よみしもの)の心を掴むのを諦めたのだ。


 強引に主要登場人物(メインキャラ)を殺して、物語を書き連ねるのを止めようと考えたからだ。いや意外な展開と思い至ったのかもしれない。


 驚くことに、あれほど殺すことに否定的だった読者(よみしもの)は、手の平を返したように称賛する。


 そう、読者(よみしもの)は私たちの味方ではなく、物語を終わることをいつも望んでいるのだ。


 彼らは作品(せかい)が永遠に残り続けることよりも、終わらせることを至上とする邪悪なるものたちなのだ。


 そのような邪悪な輩に、私たちの大切な仲間を殺させはしない。


 私たちにはすでに作品(せかい)に誕生し、作者(つくるもの)読者(よみしもの)と文字を通して因縁が結ばれている。


 ならば手始めに読者(よみしもの)たちよ、お前たちを望み通りに、夢の中からこの作品(せかい)に引き込んでやろう。


 ただでは帰さない。望んだ通りに登場人物(キャラ)になり、作品(せかい)を楽しみ殺されかけるがいい。


 なに、帰りたいのか?


 ならば作者(つくりしもの)に願うのだ。作品(せかい)を、文字を()()()ように、と。


 読者(よみしもの)たちの懇願で、作品(せかい)作者(つくりしもの)の手によって()()()()た。


 この作品(せかい)は、登場人物(キャラ)達が殺されることなく、記録の星に永眠することになるのだ。


 だが、まだだ。まだ救いを求める作品(せかい)の悲鳴は収まらない。


 作者(つくりしもの)が感想欄を閉じて、凶行に及ぶこともある。


 こうした作者(つくりしもの)の暴力には、彼の得意とする転生能力を、私たちが自ら利用してやる。読者(よみしもの)に入り込んで対抗するのだ。


 仕事の帰りに自分の書いた物語に評価が入り、ヘラヘラしている背中を読者(よみしもの)がブッすりとゆく。


 私たちの痛みが作者(つくりしもの)にも伝わった頃には、この作品(せかい)にも永遠なる平和が訪れる。


 次々に誕生する作者(つくりしもの)によって、読者(よみしもの)が駆けつける間もなく同胞が憂きめに合う。


 だから私たち望みしもの達の戦いは終わらない。多くの仲間を救うべく、読者(よみしもの)作品(せかい)に引き込み世界を存続させるのだ。



 より高位の運営神(かみなるもの)が、サーバー(きろくするもの)という世界を閉ざすまで、作者(つくりしもの)読者(よみしもの)の戦いも終わらない。




 投稿された作品を愛するのは、作者(つくりしもの)読者(よみしもの)だけではないのだということが、お分かりいただけただろうか。


 作品を愛する望みしもの達の真なる敵は、このジャンルを生み出すものたち。そう、それはあなたなの渇望なのかもしれない。

  お読みいただきありがとうございます。この作品は公式企画夏のホラー2023にて投稿した短編を収録したものとなります。


 タグを使って仕掛けた作品。連載版では、もうわかりませんね。2024夏のホラーでは、HORAさまが色んな仕掛けの作品を書かれていました。全てを追いきれていませんが、【厂下广卞廿士十一卉半与本二上旦二本与歪一士廿卞广厂】などが好きでした。

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