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新説 怪奇佰談  作者: モモル24号


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30/36

噂の怪その廿漆 ログアウト


 俺の最近お気に入りのゲームは、一昔前に流行った一人用のオープンワールドのアクションゲームだ。


 十年以上前のゲームなのに根強い人気があって、このゲームが好きなファン達が独自に開発したツールを使って改造まで出来た。


 俺のお気に入りのスタイルは架空の街や人数を増やして、自動で湧く敵の数をとにかく増やすこと、それにイベント回転率の上昇だった。


 ある程度クエストを進めてしまうと、やることなんて決まってくる。だが、それがいいのだ。

 毎日くたびれるまで働いて帰って来て、息抜きのためのゲームは俺にとっての癒しのルーティンだ。


 退屈を埋める新しい刺激なんていらない。毎日を平常運転するために、ストレスを吐き出せればそれでいい。


 廃屋に山賊が湧いたら殺して帰る。砦跡に山賊集団がやって来たら狩り殺して帰る。殺す、殺す、殺す――――。


 殺すためだけに出掛けて、殺して帰って来るだけのゲーム。我ながら病んでいる。だが、ゲームだから出来ること。


 リアリティがあり過ぎても駄目だ。現実との境界線がなくなって、帰って来れなくなる。だからと言って殺すのが前提のものは、逆に冷める。

 これくらいが俺にはちょうどいい。誰にも邪魔されずに、好きなだけ狩り尽くし、殺せる。


 殺した人数の桁が、日を追うごとに上がっていく。ほぼ毎日のように殺しているのだから当たり前だ。だが、初めて殺害人数が百万の大台に乗った帰り道に異変が起きた。


 俺がゲーム中に寝泊まりに使う拠点の入り口に、ゲーム登場キャラクターを模した色違いの道化が現れた。

 灰色の肌と、白と黒の服。白目部分は赤黒く、瞳は金――――まるで死神だ。


「もっと殺したいのデスカ? それとも帰りたいデスカ?」


 強制に話しかけられて、俺は困惑した。取り込んだツールの中に誰かが遊びで作り、俺はフラグを立てたのだろう。


 答えは、「帰る」だ。俺は病んでいても、あくまでゲームと現実とを切り離して考えるくらいの理性は残している。


 俺の選んだ解答に死神のようなキャラクターが暴れ出し、俺の操るキャラクターはあっけなく殺された。

 殺された事で、俺は無事に現実へと帰ることが出来たのかも知れない。


 あの時点で殺し続ける選択を選んでいたらどうなっていたかは、世の中に出回る多くの配信者達が実演している。


 興味があるなら見てみるといいさ。

俺のように殺しまくり、現実の歴史上の人物が殺したとされる人数の記録に迫る動画や、特定の人物をただひたすら毎日のように殺し続けるだけのイカれた動画····あげればキリがない。


 配信される動画の大半は、注目を集めて稼ぐのが目的かもしれない。だが、猟奇的な行動を繰り返すプレイヤーの中には、あの時の俺のように選択を迫られ帰らない道を進んだものの成れの果てが映し出されていると思う。




 俺は踏み込まずに帰ってこれた。だが、本当に帰って来れたのかはわからない。

 なぜなら魅入られたように、今夜もあの世界へと没入するためにゲームを起動させるのだから。


 そして、この話しを見ている君に忠告しておくよ。自分はおかしくないと言い聞かせている時点で、すでに帰れない道を歩き出しているかもしれないぞ、とね。

 設定案は某有名ゲーム。ご存知の方も多いかと思われます。そして、その中には本当に戻れなくなった方がいたのでは····?


 ◇◆◇


 お読みいただきありがとうございます。この作品は、公式企画夏のホラー2023にて投稿した短編を収録したものとなります。


 サイバーホラーとして、うわさバージョンが出来たはずの作品。

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