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新説 怪奇佰談  作者: モモル24号


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噂の怪 その弐 となりのフミオ


 座敷童子や貧乏神など、家に居付く妖怪や神様の話は昔からある。幸福をもたらしたり、不幸に陥ったりと、人生の転機に関わる出来事を擬人化され、噂になってゆくのかもしれない。


 私の知る噂の怪談は『となりのフミオ』 だ。


 となりのフミオとは別に面識はない。どこからか引っ越して来ては隣に住む誰かに踏み台にされ、どこかへまた引っ越してゆくらしい。


 何故フミオが踏み台にされたとわかるのか。それは生活環境の変化に敏感らしい。


 例えば音。アルバイトの不定期生活の時間と、九時五時出退勤の時間に合わせた外出時間の足音で、何となく察せられる。


 薄い壁でカップ麺を啜る音と、ウーバーで人気のラーメンを頼んで啜る音の違いは聞かなくてもわかるだろう。


 例えば香り。カップ麺とラーメンでは香りが圧倒的に違う。室内でお湯の注がれただけのカップ麺と、配達され、一度共用通路に漂うラーメンの香り。


 私はどちらも好きなのだが、フミオはきっと利用頻度に敏感なのだろう。


 隣人がおしゃれな方ならば、身につける香水などでも違ってくる。過酷な労働で湿布臭いものから、高級ブランドの香水に変わればわかりやすい。


 知ってか知らずか、彼を踏み台として成り上がったものはいるわけだ。


 彼が隣に引っ越して来る事で、本当に人生が好転したというのならあやかりたいと思う。


 しかし、うまい話にはたいてい落とし穴がある。


 考えてみてほしい。生活環境が好転した予兆を、フミオはいつ知るのだろうか。


 生活の行動パターンを知らなければ、音も香りも調べようがない。


 フミオは────踏み台にしてゆくものの生活を一日中、一部始終覗いているのだろうか。


 もう一つの疑問がある。踏み台にして成功したものが、いつまでも同じ環境に逗まっているだろうか。


 フミオよりも、成功を掴んだ隣人の方が先に出ていくと思わないか?


 だとすると、フミオが出ていくのはいつになるのだろう。


 成功者が得意気に話を誰かに聞かせている時に、()()をたっぷりと仕入れたフミオは次の引っ越し先へ向かっている。


 語られるのは踏み台扱いされた隣人のフミオだけ。成功者のその後の話は噂にもならない。


 噂の出処を突き詰めたい気持ちよりも、想像される事件の方が怖くなった。

 

 ────そして本日、私の暮らすアパートの隣の部屋に男が引っ越して来た……。

 

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