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4 新しい家来

「高度はこのくらいでいいでしょうか?」

「うん、たぶん」

 今俺達は、ドラゴンモードマジツヨの背の上にいる。

 その俺たちの頭の上には、カワうさズ。

 スイーリアとレトリアは、島が出来上がるのを見るためについてきた。二人の頭の上のカワうさは、ついで。

「よし。ではマジツヨ、頼む!」

「お願い、マジツヨ!」

「頼んだ!」

「はい。ではメローリ様。まずは我に魔力をください」

「うん。こんな感じかな。えーいっ」

「う、く、はああーんっ。我の中に、熱くて大きいものが入ってくるうー!」

「うるさいゴミムシ。早くやれ」

「わかってます。ぐうう、この魔力を、我の魔法にするー!」

 マジツヨが前足を伸ばすと、その先に青い石ができ始めた。

「なんだそれは」

「スカイストーンです。これがあれば空に浮かぶ島ができるんですよ。今のうちに、うんと大きいのを作らないと」

「なるほど。じゃあ、頼む」

「大きくなあれ、大きくなあれ!」

「そやな。うんと大きくなってほしいな」

 二人の声援があれば、作業効率は百倍増しだな。さすがスイーリアとレトリア。

 俺たちは背中越しにスカイストーンを見る。

 するとスカイストーンは、どんどんぐんぐん大きくなっていった。

「おお、まだ大きくするのか?」

「はい。せっかくですから、この千倍くらいにしましょう。さすがメローリ様。もう魔力9万くらい使ったのに、まだまだ魔力が入ってきますよ」

「うん。なんせ、魔力無限だからね」

「うさ」

「わー、スカイストーンきれー」

「そやねー」

 十分後。

 マジツヨは未だスカイストーンを大きくしていた。

「ねえ、マジツヨー、まだー?」

「もっと大きくしないと、城から森まで作れませんよ。それより、メローリ様。魔力の譲渡、絶やさないでくださないね」

「うーん」

「ねえ、メローリ、ひょっとしてつかれた?」

「ううん、スイーリア。私まだやれる。ピンピンしてる!」

「メローリもマジツヨも、疲れたら言うんやよ」

「オッケー。ほらマジツヨ、もっと魔力を受け取れー!」

「あーん、これ以上強いのはダメー!」

「でも変なこと言って遊ぶのはやめよか」

「こらマジツヨ、レトリアに怒られたじゃないか!」

「半分はメローリ様のせいですよ!」

 一時間後。

「うーん。こんなもんでいいでしょうか」

 マジツヨがそう言う頃には、既にスカイストーンで島ができていた。

「とうとう島を作る準備ができたのね。やったわ!」

「そやね。次は土でしょ?」

「その通りですレトリア様。ではこのスカイストーンの上に、土をつけていきますよ」

「はーい」

「あ、土なら私も手伝えるかも」

「本当ですか、レトリア様。ではお願いします」

「うん」

「レトリア、やっちゃって!」

「レトリアもいけいけー!」

「ああ。ちょっとやってみるわ。いくぞ、うさぴょこ!」

「うさ!」

「土魔法!」

 マジツヨとレトリアが土魔法で土を生み出して、スカイストーンの上に乗せていく。

「おお、凄い勢いだ。でも、スカイストーンももうすごく大きいからなあ。

 土をかぶせるだけでも、やっぱり結構かかりそうだなあ。

「むっ」

 とその時、マジツヨが手を止め、ある一方を見つめた。

「どうした、マジツヨ!」

「メローリ様。どうやら客が現れたようだ。少し相手をしなければいけないらしい」

「そんなそれらしいこと言っちゃって。客って何、知ってる人?」

「ああ。知っているといえば知っている。やつは自称空の王。イタいやつだ」

 するとその時、俺たちにも接近してきたモンスターを目視できた。

 そいつは緑色の大きな鳥で、俺たちの前で静止した。

「何やら俺様の空で勝手なことをしている気配があると思えば、お前か、マジツヨ!」

「ああ。久しぶりだな、カゼツヨ」

「俺様のテリトリーに侵入してきたということは、俺様とやり合うということだな!」

「ちょっと島を作ろうとしたらしゃしゃり出てきおって、面倒なやつだ。それに、今我はお前より強い。メローリ様がついているからな。よってお前では相手にならん。さっさと去れ」

「何をお。こやつ、今までの戦績が999戦999引き分けであることを忘れたか。この全能力値99900の攻撃、受けてみよ!」

「仕方ない。メローリ様。やっちゃってください」

「うん。じゃあ、可愛いビーム!」

 ズビビー。

「ぎゃー!」

 カゼツヨは倒れ、スカイストーンの上に落ちた。

「こ、これほどの強さ、いったい?」

「さあ、レトリア様。一緒にあの面倒なカゼツヨを土で埋めてしまいましょう」

「う、うん」

「待って。それは流石に可哀想よ!」

「そうだ、スイーリアの言う通り!」

「それに、私達の秘密基地の下にモンスターが埋まるのも嫌だわ!」

「そうだ、スイーリアの言う通り!」

「面倒だのう。ではどうする?」

「そうだなあ。おい、カゼツヨ。もしお前が私達の家来になれば、命だけは助けてやる。でも従わないなら、お前を今晩のごはんにする!」

「ま、まいりました。助けてください」

「じゃあ早くそこどいて。秘密基地作れない!」

「といわれても、今は体が動かないので」

「じゃあ、マジツヨが回復魔法使えばいい。マジツヨ回復魔法くらい使えるでしょ?」

「さすがレトリア、名案だわ!」

「仕方ないのう。では、ほれ、回復魔法」

「ぐうう。まさかこんなところで俺様以上の強者に出会えるとは。長生きしてみるものである」

「よし。じゃあカゼツヨはこの秘密基地島をずっと警護しててね。そして下にある私の家には絶対近寄らないでね!」

 これ以上家来に良い仕事されて俺の立つ瀬が無くなったら困るから!

「は、かしこまりました!」

「あとカゼツヨ、あなた、島づくりを手伝える?」

「はい、多少は。まずは何をすればいいのですか?」

「ではこのスカイストーンの上に土をもって、次にその上に城を作るぞ」

「なるほど、わかった」

 こうして働き手も増え、島づくりの効率がちょっとだけ上がった。

 やがて、俺たちの島が完成する。

 立派な城、きれいな湖。

 野菜畑も果物の木も、マジツヨが魔法で生み出してしまった。

 けど、動物は生み出せないらしいから、まだ湖には鳥も魚もいないけど。

 ひとまず。

「やったー、できたー、完成ー!」

 俺たちは城の前でばんざいした。

「ふう。良い仕事をした」

「おめでとうございます、メローリ様」

 マジツヨとカゼツヨがそう言う。ちなみにカゼツヨは人型になるとマッチョな男だった。

「よーし。それじゃあ秘密基地が完成したお祝いに!」

「お祝いに?」

「完成ダンスを踊ろう!」

「わーい!」

「えー。そのノリ、まだ続くの?」

「ほら、スイーリア、レトリア。私に続いて。完成完成完成だー!」

「完成完成完成だー!」

「あー、はいはい。完成完成完成だー」

 ふふふ。二人共可愛い。踊りがいがあるというものだ。


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