3 島のイメージ
「それだ!」
「それよ!」
レトリアさすが。とっても良いことを思いつく。
「空の上に秘密基地を作ったら、もう絶対誰にも手出しされないわ!」
「それに空の上にお城があるなんてとってもステキ!」
「だよね。それじゃあマジツヨが暇になったら、早速作ってもらおうか!」
「うん!」
「でも、空の島を自由に作れるんなら、理想の島を作りたいわね!」
「その通りだスイーリア。どんな島にするか、今から考えよう!」
「じゃあ今からスマホ配るから、そのお絵かきアプリを使って私が考えた最高の島をイメージしてみよう!」
「おー!」
というわけで、今日は三人でそれぞれスマホとにらめっこして、どんな島があったらいいかお絵かきすることにした。
「うー、上手くできない!」
何十分かして、スイーリアが言った。
「メローリとレトリアはできた?」
「うーん、まだまだって感じかな」
「私も」
「私もとってもステキな島を考えたんだけど、なかなか上手く絵にできないの。二人共、どうしたらいい?」
「うーん」
確かに、俺たちの画力では限界がある。もっと良い方法はないものだろうか。
「あ、じゃあ、AIイラストを使ってみる?」
「エーアイイラスト?」
「あー、その方が簡単かもしれないな」
「なにそれ、よくわからない。メローリ、レトリア、ちゃんと説明して!」
「えーっとね、スイーリア。アプリの1つに、キーワードを入力したら、それを反映した絵を自動で用意してくれるやつがあるんだよ」
「なにそれ、ずるい。それじゃあ最初っからそれを使えばよかったじゃない!」
「まー、そやね。ごめんね、スイーリア」
「あ、レトリアが謝らなくてもいいわ。私がもっと絵を上手く描ければ良かったんだし」
「それじゃあ、AIイラストを使って1つ、イメージ絵を用意してもらおうか」
「うん!」
「どんな島がいいかなあ」
「まず一つ。城がある」
「最低条件だね」
「確かに、城あっての島だもの。それは外せないわ」
「城は島のどこにあった方が良いかな?」
レトリアが言うと、私とスイーリアはすぐに答える。
「真ん中」
「北側!」
「じゃあ北側で」
俺はすぐに返事を変える。何よりスイーリア基準でいいのだ。
「なんで北側?」
「えっとね。真ん中は湖がいいの。それでその湖に、いっぱい魚と水鳥がいるの!」
「おおー」
「良い案やね」
「でしょ!」
「じゃあ、まずはそこが決まりと。次は、何がいい?」
「じゃあ、島の形は丸かな」
俺がそう言う。きっと丸が一番無難だろう。
「形かー。でも、丸い島なんてありきたりじゃない?」
「じゃあ、どんな形にする。星型、ハート型?」
「あ、私ハート型が良い!」
「確かに。せっかく自由にできるんなら、それが良いかも」
「なるほど」
そこは盲点だった。
「ハート型にして、北にお城と。お城はやっぱり、ハートの上部分の真ん中にある感じだよね」
「うん、そう。そうしたら、残りのハートの上部分はお花畑なの!」
「お花畑、良いね!」
「うん、私、お城の周りもお花畑がいい!」
「じゃあ、ハートの上部分は、お花畑と城と。で、真ん中が湖。その他はどうする?」
「森とかあっていいかも。森林浴もできれば良い感じじゃない?」
「私畑がいい!」
「じゃあ私も畑がいい」
「畑って、まさか私達が育てるの?」
「あ、うーん。私達じゃ難しいかあ。でも、私お野菜食べたい。ゴイッチ畑があったら、とってもステキだと思うの!」
ちなみにゴイッチとは、まんまいちごである。
「なるほど。たしかに食料があってもいいかも」
「ね、メローリもそう思うでしょ!」
「勝手にゴイッチが育てばいい、か。まあ、たしかにあったらいいね」
「でしょ、他にもココーンとか、ロンメとか、あればいいと思うの!」
うん。コーンとメロンね。たしかに、ただで手に入れば文句はない。
「それができたら最高ね。まあイメージなんだから、なんでもありよね!」
「まあ、イメージなだけだしねえ。じゃあ、お花畑の下は、やさい畑ということで」
「それじゃあ一番南は果物の森にしよう」
「さすがメローリ、それがいいわ!」
「よし。キーワードはこれで終わりやね。それじゃあ、AIイラスト、作成開始!」
すると。
「おー!」
スマホの画面に、ハート型の島の絵が現れた!
「ステキ!」
「文句なしね!」
「うーん、早い、秒でできる。やっぱり便利やな」
スイーリア、俺、レトリアが言う。
「あ、でもこの絵、城の周りに城下町がある」
「あ、本当だ。町はいらないわ。だってお城だけあればいいもの」
「そやな。一応秘密基地だしなあ」
「じゃあ町がない絵をもう一回頼みましょう!」
「そうね!」
こうして再注文して、われわれが納得できる絵ができあがった。
「やったー、イメージ完成!」
「あとはこれをマジツヨに見せて、作ってって頼むだけね!」
「まあ、作れたらだけどね。実際どうだろ。結構無茶言ってるからなあ」
「閃いた、マジツヨがこれを作れなかったら、罰として追い出せばいいのよ!」
「メローリ、流石にそれは可哀想よ!」
「でも、せっかくのチャンスだし。これ以上私の立場が悪くならないように、ちょっとだけ旅に出てもらってもいいじゃない!」
「メローリ、流石にそれはひどすぎるで」
「うう、レトリアまで。こっちは切実な悩みなのに!」
「メローリ様ー。時間が空いたので来ましたよー」
「あ、噂をすればマジツヨが来た!」
「マジツヨ、これ作ってー!」
「はい、なんでしょう」
「昨日、秘密基地作るって話したでしょ。それが発展して、空の上に私達の島を作ってほしいって思ったんよ」
「なるほどお。こんな感じの島ですかあ」
「マジツヨ、できる?」
「まあ、できますよ。百年くらいあったら」
「それほぼできないじゃん」
「魔力が足りないんですよ。魔力が無限にあったらちょちょいとできるかもしれませんが」
「ん、無限の魔力?」
「はい。メローリ様は心当たりがあるんですか?」
「私できるよ、無限の魔力!」
「なるほど、さすがはメローリ様です。では、我にメローリ様の魔力をお貸しください。そうすれば作ってさしあげますよ」
「やったー!」
俺たちは両手をあげて喜んだ。