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第12話 ギミックありの召喚

 私は素振りだけで息が上がって無力感も手伝いとぼとぼと屋敷に戻った。体力アップの修業が必要かもしれない。いいえ、修行しないと確実に死ぬと思う。


 メトリックに頼んでみるのが無難かもしれない。私は自室の前で待っていたローラにお茶を準備するように伝えて室内を見回した。窓が大きく開かれて、カーテンが不用心に全開、何かおかしい。部屋に入ろうとして違和感の正体に気づいた。


 私は窓辺に落ちている目立つ紙切れを魔道具で拾い上げる。


「見知らぬ女に気をつけろ? どういうこと」


 紙に書かれた内容は警告とも忠告ともとれる。そもそも見知らぬ女は抽象的すぎるよね。これから新たに出会う人で女性なら全員該当するから。たぶん注意すべき対象を暗示しているだけ。


 見知らぬという言葉で気になるのはユリア? 妹としての記憶がない。

 もしかして敵対者なのかな。


「あぁ、もうわからない。考えても結論は出ないわね」


 部屋に立ち入られたか投げ込まれたかわからないけど警告の類が届けられたこと。これは私の命にかかわる重大事、無視は危険だし対処しなければ。警告の送り主が誰かより、書かれた内容と伝える意図がわからない。


 非常にまずいぞ。



 私は食事中も落ち着かず上の空だった。スッキリしないが夜になって今後の行動についてモザイカに質問することにした。


「モザイカ、警告の文書が届けられたのだけど同じ陣営から送ってくることはあるの」

「通常は主様の命名である黒の手帳を介します。出向くことにお互いメリットがありません」

「あ、そうね! 仲間といっても漏洩リスクを考えると端末使うよね」

「敵対者とも考えられませんが、現状では情報精度が低く判断できません」

「敵対者なら攻撃するだけだもの。忠告しないわよね。あとは悪戯か攪乱かな」

「不明です。あいまいな情報に振り回されないことが重要であるとアドバイスいたします」


 そうよね。とりあえず、女性関連は注意するだけでいいかもしれない。


「モザイカ、組合活動だけど明日も同じ依頼を受ければいいの?」

「主様は黒の手帳のメッセージを確認されたでしょうか」

「え、なに?」

「では、私から説明いたします。今回の魔物討伐の功績によりステージアップいたしております。新たな機能が解放され同盟と共闘システム等が使えるようになっております。機能の確認はメッセージリンクより確認ください」

「うん、わかったよ。で、ステージが上がったら依頼も変えるの」

「魔の森に面したバイコーディン山脈が適正レベルです。組合レベルも適正ですから依頼を受けられます。注意点は主様の攻撃及び防御レベルが低いことです」

「そのことは理解しているわ。組合活動以外に訓練することにしたよ」

「無理のない程度にお励みください」


 私は黒の手帳でステージアップ関連の詳細内容を読んでみたが、お友達のいない私には利用できない機能が大半だった。使えそうなのは掲示板の諸機能が使えるようになったことくらい。まあ、すぐに参加する必要はないし、ちょっと怖いので放置している。




 翌日になって組合で依頼を受けて目的地のバイコーディン山脈を目指している。私が荷車の返却を忘れたものだから、今日も牛に引かれながら荷車道中の最中なのだ。


 私は山に行くのは初めてで、テンションは鰻登りで剣を振り回している。まあ、やらないよりはましな訓練だけど。そういえば、ステージアップの効果なのか剣が軽く感じる。


 腰に違和感を覚えたので確認するとモザイカからメッセージが届いていた。なんでも、受けた依頼の“森を荒らす魔獣討伐”と“湖の浄化”を達成すると妖精の加護を得られる可能性があるらしい。運の要素と行動により結果が変わると記されていた。


「妖精ね……本当に存在するのかしら。見たことも聞いたこともないけど」

「姫様いるよ。ちっちゃいのが多いけど。たまに強いのがいる」

「え、いるんだ。知らなかったよ」

「話せる()()もいるって、おばあちゃんが言ってた」

「私は妖精と話せなくてもいいけど。仲良くして欲しいかな」

「加護が欲しいって言わない姫様素敵だよ」

「加護なんて何かの代償なんだし、なるようにしかならないからね」


 山に入り荷車が走れなくなったので留め置いて徒歩で森林に入っていく。私の足取りは不思議なほど軽い。疲れもないしどうしたのかしら。


 昼でも薄暗い密林を下生えの草木を掻き分けて進んでいると空から光が射している。照らされているのは根元から折れた古木、よく見ると細い枝から葉が茂っている。その周りには多数のポイズンボアが倒した古木の若葉を食べている。


 なんとなく害獣の行動は見ていてムカムカしてくる。

 悪い癖が出そうよね。


「あれって、魔獣よね? 盗伐対象なのかな」

「違うよ。でも害獣かな」

「まあ、害があるなら討伐決定。森の木を倒して食べるなんて環境破壊よ! 蹴散らしていいわ!」

「はい、スキリアが行くそうです」


 スキリアが駆け出し倒木を交わしたり、枝を伝ったりムササビのように飛んでいく。なんで滑空できるのか……疑問に感じたら負けね。


 そして、スキリアは勢い余ったのか害獣たちを通り過ぎ、更に森の奥に消えてしまった。あれ? ポイズンボアが一匹もいない。いつの間に倒してたの?


「姫様、トリガーの子猪を倒したのでエルダー・ポイズンボアが召喚されました」

「え、ギミックなのそれ? それよりスキリアは大丈夫なの?」

「誘導して止めを刺すようです」


 森の奥から地響きが聞こえてくる。木が折れ何かがはじけ飛んでいる音がする。大きそうね。困ったわ。



 防御できる自信はないけど剣を抜こう。

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