第858話 魔王戦争ラフィメストス編8
「マキシさん、お力を貸していただけるとみてよろしいですね?」
一応、ツヅリが確認する。
「それ以外になにがある? あのメタルヒュドラは私に任せろ。君はあっちの〝変異種〟を相手にするといい」
メタルヒュドラを全く脅威と思ってない様子のマキシが淡々と話す。
「天使の私の一撃を喰らっても死なぬとは流石は〝変異種〟と言った所か」
ツヅリが全力で戦って全くと言っていい程にダメージを与えられなかったメタルヒュドラを、マキシはたった一撃で胴体に貫く風穴を開けている。致命傷でないにしろメタルヒュドラを十二分に相手できるのは今この場でマキシだけだ。
*
マキシが来てからは戦況がガラリと変わった。
今までの劣性が嘘のようだ。
ドン! と、マスケット銃から放った魔力弾がメタルヒュドラを更に撃ち抜く。
バリバリ、バーン! と、メタルヒュドラが倒される。
「天使の私の弾を一撃は耐えるとは、やるな」
メタルヒュドラを一撃で倒すつもりだったらしいマキシは少し不満そうだ。
「あれをたった二擊とは……〝六魔導士〟とはこれほどの差が私とはあるのですね」
実際にメタルヒュドラと戦っていたツヅリは一体どれほどマキシがデタラメな強さか、この場で一番肌で感じていた。
「さて、この数は流石の天使の私でも一苦労だな。天使な私だが、広範囲攻撃は苦手だからな」
*
〝シラセの家付近〟
「外の様子が変わったな。何やら強い気配もある。向こうは任せて大丈夫そうだ。シラセの〝人工精霊〟の援軍もあるし」
はて、一体誰が来た?
〝中央連合王国アルカディア〟からの援軍にしては早すぎる。
まあいいケセラセラだ。
「また余所見か? 人間」
ドン! と、地面を蹴り、マッハで剣を振るい、こちらに飛びかかって来るラフィメストス。
月夜で受け止めるが、う……息が。
バックステップで距離を取り、呼吸を整える。
大きく息を吸い数分は呼吸を止められるようにする。
「長引かせても被害か増えるだけだ。さっさとケリを付けるぞ」
ダッ! と、駆け出し、俺は〝アイテムストレージ〟から〝短剣〟を取り出し左手で持つ。
次に〝月夜〟と〝短剣〟に魔力を強く込め、ラフィメストスへと向かう。
対するラフィメストスは大量の浮かぶ剣(具体的には100本ぐらい)をこちらに向ける。
一本、一本が強い。厄介そうだ。
俺はそれを月夜とダガーを逆手に持ち、回転しながらラフィメストスの剣を相殺して行く。
これでもダメか、という表情のラフィメストス。優勢だな。このまま行けばイケるぞ!
油断は絶対しないけど!




