第856話 魔王戦争ラフィメストス編6
*
シンカ村・シラセの家付近
「村の外が騒がしいな。そっちも手を貸したいが」
「私を相手しておいて随分余裕だな人間」
俺はここでスキル〝天眼〟を使う。
「頭に脳が一つ、もう一つの脳と二つの心臓はみぞおちに集まってるな」
「!? なぜ分かった?」
魔王を倒すのは二つずつある脳と心臓を全て破壊する必要がある。
その場所は魔王によって様々だ。
「スキルだよ。俺に隠し通せると思うな」
俺は魔力を強く纏い脱兎のごとくラフィメストスに近づき、
「風穴!!」
ラフィメストスの心臓を一突きする。
「うっ……」
こちらを舐めてくれてる間に決着をつけるぞ!
と、思っていたが、頭が回る様子のラフィメストスは、
「この俺が簡単に心臓を取られるとはな。悪かった。お前はエサじゃない。俺の敵だ!」
あーあ、言ってる側から舐めプ勝負終わっちまったよ。向こうも本気で来るようだし、こっちも本気で行くか。
俺は月夜に魔力を強く込める。
これまた脱兎のごとくラフィメストスに近より、
「〝流れろ・火龍天手湖舞〟!」
斬撃に火属性魔法を乗せ放つ!
が、残念。火魔法はラフィメストスの3m前で消えた。斬撃は普通に止められた。
あ、バカ俺、ラフィメストスの周り3mは空気、つまり酸素が無いんだ。
火魔法は使えないなコイツには。
「何かしたか? 人間?」
「少々勉強を……」
少し悔しそうに俺が言うとラフィメストスは満足気に笑った。このどや顔魔王め。
*
「こざかしい!」
カラクリの羽を撃ち抜いた犬神のαに魔力を纏ったパンチを繰り出すが、αは綺麗に避ける。
「α、よくできました!」
シラセが惜しみ無い称賛を送る。
「おのれ、たかがエサの分際で!」
カラクリはもう治りつつある羽を動かすと砂ぼこりのような粉が舞う。
「うっ、酷い毒気ですね……っと、不味い」
このまま毒ガスを放置しておくと、シラセの両親やクレハや桜にまで、毒が回る。
「させません!」
シラセは剣に魔力を込め、
「断絶斬!」
毒ガスを斬り、皆とは反対方向に毒ガスを散らす。
「毒を嫌がるか。ひゃっひゃっひゃっひゃ」
楽しげに笑うカラクリは更に毒を吐く。
「Ω、お願い!」
シラセの言葉を聞き白龍のΩはクレハたちを包むようにサークル状の結界を張る。
「私だけならあなたの毒もそれほど脅威ではありません」
早く倒さなければとシラセは活を入れる。
魔族は心臓と脳を一つずつ破壊する必要がある。
シラセはまず心臓をと剣を握りカラクリへと向かう。
「〝大海匝海月〟!」
魔力を込めたシラセの剣から放たれたのは透明な大きなクラゲだ。
透明なクラゲは何十本の足でカラクリを掴むと爆発する。
なったばかりとは言え、借にも〝限界超越者〟の攻撃だ。カラクリも無事では済まない。
ぽっかりと空いた左胸部の風穴がいかにシラセが強いかを物語っていた。
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