第851話 魔王戦争ラフィメストス編2
「ジークパング王、ユキマサさんはあなたに頼まれなくても率先して魔王討伐に動いたと思いますよ」
ユリィが優し気な声で言う。
「そうかもしれぬが、筋は通さねばならん」
俯きながらジークパングは呟く。
「ユキマサがいるなら大丈夫なんじゃない? 尋常じゃないよ。ユキマサの強さは」
あっけらかんとした様子でパンプキックが言う。
「拙者はあまり稗月倖真はすかんゆえ」
グローブみたいな手を合わせながらヒルグラムが苦虫を噛み潰したような様子で言った。
「儂は会ったことがないから何ともいえないな」
狐人族の十もの立派な尻尾を持った、大男ヴァジラ・フォーコーンが続く。
「よいではないか。賽は振られたのだ。今から援軍を出しても間にあん。稗月倖真に賭けるしかないのだから」
「ヴァンドール王、それでは〝アルカディア〟の威厳が……」
「どのみち、後は稗月倖真とシラセに任す他あるまい」
するとプルルル……と、ジークパングの通信石が鳴る。
「もしもし、私だ」
恐る恐るに通信石に出るジークパング。
『やあ、悪い日だね。状況は掴めてる?』
「大聖女、うむ概ね掴めている」
『じゃあ、話しは早いね。敵勢力は魔王ラフィメストスと魔族カラクリと大量の魔物と魔獸。対する人類の戦力は〝六魔導士〟シラセ・アヤセと村の冒険者と傭兵団、そして稗月倖真。あ、黒芒さんもいるんだっけ。で、どうするの? ユキマサ君が魔王を倒したらそれなりの報酬が必要だよね?』
いつものノアの声だが少し圧力を感じた。
「指名手配の撤回はしない。報酬は後で考える」
『ふーん。まあいいよ。それと期日までには例の件の返事を頂戴ね』
プツンと通話が切れる。
ふぁぁぁ~……と、息を吐いて、ジークパングは頭を抱えた。
*
パースド空域・宙船
そこには〝ハッピーエンド同盟〟からの〝シンカ村〟への援軍が乗っていた。
「急がなければ! 村の人たちが……」
銀髪のロップイヤーみたいな髪型の少女が呟く。
「レモンちゃん、そう焦っても時間は変わらねッスよ。それにこの宙船なら、援軍も間に合う。何よりユキマっさんがいるんスから万人力ッスよ」
顔黒に黒い髪、頬にはハートの刺青の入った男がレモンを宥める。
「チャッチャラーさん。そうですね。焦ってもいいことはありませんね。反省します」
「にしても、急だったッスね〝大都市エルクステン〟にいた戦力もノアさんを抜いて俺とレモンちゃんだけだったんスから」
少し遠い目をしながら話すチャッチャラーは今行きます。待っていてくださいね。と、言ってるようだった。
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