第844話 シンカ村8
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「何かイイ香りがしてきました」
「お、昆布から出汁が出てきたか」
部屋にはハンバーグや白米に負けないほど、昆布の香りがしてきている。
「次は昆布を取り出して鰹節を入れるんだ」
「あ、はい!」
鰹節を入れると沈みきった所でサッと鰹節を取り出す。
「もういいんですか?」
「ああ、これでいいんだ。出汁取って残った昆布と鰹節は明日おむすびの具にでもしよう」
「素敵です!」
「ハハッ、ありがとよ。具材を入れるぞ」
野菜や肉等を投入し、火を強火にする。
「鰹節、イイ香りですね!」
まるで子供のように嬉しそうに、豚汁の鍋を見つめるシラセ。
コトコト20分ほど、鍋を煮ると火を止め味噌を入れる。
ちょっと味噌を舐めてみると、うお!? 何だこれめちゃくちゃ美味いぞ!
ヤツネ婆さんグッジョブ!
「味噌は沸騰させないで入れるんだ」
「はい、分かりました」
味噌をおたまに乗せて箸でかき混ぜれば、豚汁の完成だ。
「そっちもできたようだな。じゃあ、食べるか」
クレハと桜とシラセが白米、サラダ、ハンバーグを完成させてるのを見ると、一段落だ。
「おい、黒芒、出てこい。夕飯だ」
俺が自分の影にそう問いかけると、毎度のごとくスルリと黒芒が現れる。
「おはようじゃ、主様」
「ああ、おはよう。黒芒」
まだ眠そうな黒芒は瞼を擦る。
「せ、千妖!?」
「何じゃ、この子娘は?」
「紹介がまだだったな。この軍服美少女がシラセ・アヤセ。現職の〝六魔導士〟だ。それで今、俺の影から出てきたのが黒芒、俺の旅の仲間だ」
と、俺は簡単に説明する。
「妙な話しじゃのう〝王国魔導士団〟と言えば今は主様の敵ではないのか?」
「まあ、色々あってな。話すと長くなるんだが、今のところドンパチやろうってワケじゃないんだ。それで納得してくれ」
「主様がそう言うのならば妾はそれでよい」
それよりメシとばかりに黒芒は桜に「黒芒さんこちらへどうぞ」と言われ、テーブルに着く。
「じゃ、メシにするか。シラセ、場所は決まって無いから好きに座ってくれ」
「はい。ありがとうございます」
警戒してか、シラセは黒芒から一番遠い席に座った。まあ、席も5.6席しかないんだから、そんなに距離の差は無いんだけど。
「「「「「いただきます」」」」」
手を合わせ、食に感謝しながら俺たちは食事を始める。
「豚汁、いただきますね」
「おう、沢山食べな」
シラセは上品に豚汁を口に運ぶ。
「♪」
食べた瞬間、シラセの顔が幸せそうに綻ぶ。
てか、シラセめっちゃ可愛いよな。
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