第843話 シンカ村7
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「それでシラセちゃんお味噌が欲しいんだったかしら?」
「あ、はい。1kgほど売ってください」
「1kgと言わず好きなだけ持っていきなさい。腰を治して貰ったんだもの。私の奢りよ!」
「いいんですか? でも、治したのはユキマ……彼ですよ?」
「お兄さんにさ。紹介してくれたシラセちゃんにもね。そう言えばお兄さん、お名前は?」
ヤベ、どうすっか。
本名名乗った所で騒ぎになる予感しかしないぞ。
「聞かない方がお互いのためだ」
「? そ、そうかい?」
疑問を持たれたが、婆さんは深く追求してくる事もなかった。
「はい、お味噌5kg。持っていってちょうだい」
「ありがとうございます。ヤツネお婆さん」
無事、味噌を手に入れた俺たちは味噌蔵を後にする。
「さて、何処で作るか。家でいいか?」
「家?」
「ああ、ここだここ」
村外れの草原に俺は〝アイテムストレージ〟から家を取り出す。
「!?」
驚くシラセ。
まあ、家が急に現れたら驚くよな。
「さ、上がってくれ」
「お、お邪魔します……」
ペコリと綺麗なお辞儀をしながらシラセが家に入る。
「早速準備にかかるとするか。クレハは人参とジャガイモを桜は玉ねぎとごぼうの皮を剥いてくれ。シラセは俺と出汁取りだ。覚えたいだろ?」
「いいんですか?」
レシピを教えると言った俺に嬉しいような、驚いたような反応を見せる。
「おう、今度はシラセが作った豚汁食わせてくれ」
「はい。そう言うことなら。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします!」
〝アイテムストレージ〟から鍋とリリリの山の水を出す。
「まずは出汁を取るぞ。水を張った鍋に昆布を入れて弱火でコトコトだ」
「あ、はい!」
「火は強すぎると昆布から滑りが出るから注意しろ」
「分かりました」
じーっと、真面目なシラセは火が強くなりすぎ無いように見つめている。
そんな見つめててもあれなので、
「シラセ、ハンバーグ作るの手伝ってくれ」
と、シラセに声をかける。
「はい! ハンバーグなら私も作れそうです」
〝アイテムストレージ〟から挽き肉や玉ねぎや卵と言ったハンバーグの材料を俺は取り出しシラセに渡す。
「余ってもイイから沢山作ろう」
「はい。分かりました!」
すると野菜を切り終えたクレハが、
「ユキマサ君、私、桜ちゃんとご飯炊くね」
と、申し出てくれた。
「悪いな。頼んだぜ」
「ユキマサさん、玉ねぎ炒めますね」
あっという間に玉ねぎを微塵切りしていたシラセからも声がかかる。
てか、シラセ普通に料理できんじゃん。女子力たけー。
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