第840話 シンカ村4
「所でシラセ、お前俺の名前出したか?」
「すいません。出しました……」
「それでお上は何と言ってた?」
「〝夜光〟稗月倖真とは単独で戦うな。だそうです。正直ホッとしてます」
〝夜光〟? ああ、俺の〝国狩り〟に変わる新しい二つ名か。大それた名前だな。
「それはこちらも同じだ。シラセとは俺も戦いたくないしな」
一度は共に戦い、炊き出しの飯を食った仲だ。
立場がどうので友人と戦うのは断固ごめんだ。
「ユキマサさん方、外に出ませんか? よければ村を案内しますよ」
「いいのか? 六魔導士?」
「戦うなとは言われてますが、親しくするなとは言われてませんので」
「シラセがそんなことを言うとはな。もっと固い奴だと思ってたよ」
「すいません……あ、ではこちらへ」
そうして俺たちはギルドを後にするのだった。
ギルドの奴らは「何だやらねぇのか」「おいおい、賭けをしようと思ったのにつまらないな」「やっと静かになったか」とか言ってるよ。
てか、賭け事すんなよ勝手に!
*
「そういやシラセ〝限界超越者〟になったらしいな」
「あ、はい。ありがとうございます。でもほとんどこの子達のお陰です」
そう言うとシラセの周りに向こうが透けて見える、透明な〝人工精霊〟の白龍と犬神が現れる。
「αとΩか久しぶりだな。ん? 良く見ると少し金色がかってるな」
透明なのは相変わらずだが、二体を包む薄い靄のような物が、うっすら金色がかっている。
「それは私が〝限界超越者〟になったら、二人とも進化したんです」
二体ではなく二人と呼ぶシラセは、犬神のαと白龍のΩをいかに大切にしてるかが分かる。
「おっ、何だ何だ?」
αとΩが俺にスリスリとじゃれついて来る。
ハハハ、何だ可愛いな。うりうり、と俺は二体を撫でまわす。
「αとΩが私以外に懐くなんて……驚きました。ユキマサさん貴方はやっぱり善人なんですね」
素で驚くシラセ。
どうやらあまりシラセ以外の人に懐かないらしい。
「誉めても何一つでないぞ? あ、飯奢るよ」
「ホントですか! 私、ユキマサさんが炊き出しで作ってくれた豚汁をもう一度食べたかったんです……ハッ! すいません、つい……///」
「ハハハ! 気に入ってくれたんだな。晩飯はそれにするか。豚汁なら、白米にサラダ、ハンバーグ何てのもありだな」
和食はいいよな。ハンバーグは洋食だけど。
「ハンバーグ……」
俺のハンバーグ発言に声を返して来たのはクレハだ。
お肉大好きフリスキーだからな。それともお腹減ってたのかな?
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




