第838話 シンカ村2
「待つんだ! アラン、お前飲みすぎだ!」
慌ててギルドマスターが鎧長髪一本結び男を止めに入るが、男は止まらない。
「こんな奴が金貨四万枚の賞金首だってか!? ハッ! 俺がやる! お前ら下がってな!」
ナイフで俺の手配書を切り刻み、立ち上がり俺に向かって来るアラン。
回りからは「いいぞ、やったれ!」「おい、止めとけ飲みすぎだ」「勝ったら何か奢ってくれよ」「全く騒々しい」と、どちらかと言うとアランの味方だ。アラン側、皆酔ってるけど。
「オラァ! 稗月倖真! 死ねぇ!!」
腰の剣を抜き、酔ってるわりには的確な攻撃をしてくる。
それに対し俺はひょいっと素手で剣を掴み、驚く一同を横目に、くいっと剣をひねり、そいや! っと、背負い投げ。殺してませんよ。手加減しましたよ。頭から落ちたけど。
数秒の間の沈黙。
「あ、あの、アランが赤子扱いの一捻り!? レベル52だぞ!? そいつ!!」
腰を抜かす観客達。
「おい、お前、剣を抜いて人を殺しにかかって来て自分は殺されませんとか、甘い考えをしてやしないだろうな?」
〝アイテムストレージ〟から〝短剣〟を取り出し睨む。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!! そいつ、少し飲みすぎちまったんだよ! 頼む、そんな奴でも友達なんだ! 見逃してくれ!」
土下座で謝ってくるアランの友人。
アランは相変わらず気を失ったままだ。
「一度だけだ。次は無い。失せろ」
するとアランを担ぎ上げて「ひぃぃ、ありがとうございます。ありがとうございます」と、叫びながらギルドから出ていった。
「さて、次はどいつだ?」
俺が振り返ると、さっきまで行けや行くななどの、ドンチャン騒ぎしてた酔っ払い共も酔いが覚めたように静かになった。
そそくさと後を去る者、酒を追加で頼み忘れてしまおうという者、水を飲んで気を落ち着かせる者と様々だ。
俺とは誰も目を合わせようとしない。まあ、実力差は分かったか。自画自賛だが、俺はこの程度で負ける強さじゃないんでね。じゃなきゃ魔王退治なんて引き受けたりしない。
俺が〝短剣〟を仕舞い、もう何もしませんよ。と、ジェスチャーすると、凛とした綺麗な女性の声がギルドに響いた。
「何事ですか!? ギルド内での争いはそう珍しくありませんが、今日は少し騒ぎ過ぎですよ……!? ユキマサさん……?」
赤紫の軍服に軍帽の少し童顔なのか、20歳という割には17~18歳ぐらいに見える、腰に剣を携えた赤紫髪の綺麗な長い髪の女性は俺を見ると、凄く驚いた凄く困った様子でこちらに話しかけて来る。
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