第829話 ユグドラシル30
*
それから一時間がたった頃、まだ戦闘は続いた。
「回復力が桁違いだわ。一度の攻撃で決めないと!」
「チェリッシュ、ソフィ、合わせて!」
「「了解!」」
ここでカリブデュスの〝変異種〟が動く。
また光線だ。威力は通常種の何倍も強い。
「あぁ!! ソフィの家!?」
ガリレオンが焦った様子で光線を見る。
すると同時に俺は駆け出していた。
「貸し一つだ」
俺は〝アイテムストレージ〟から取り出した〝月夜〟で光線を斬る。
「うひゃあ、ありがとー、ユキマサ!」
空でぴょんぴょんしながらガリレオンが言う。
「ガリー! ソフィ、行くわよ!」
「うん、僕から行くね! 〝大氷柱鎌死神旋風の舞〟!」
魔法で作られた立派な大きな氷の鎌がカリブデュスの〝変異種〟を襲う。
死神の名の通り鋭く鋭利な氷の鎌は凶刃な〝変異種〟を身体を確実に切り裂く!
「式紙融合〝召喚悪魔王〟一色斬王仁!」
ソフィアが放ったのは式紙だ。ガリレオンの死神より、より死神らしい麻布骸骨がカリブディスの〝変異種〟を追撃する。
「とどめは任せたよ! チェリッシュ!」
「チェリッシュ、お願いします!」
二人がチェリッシュにとどめの頼みをする。
「任せて! 天下一刀流・肆式〝薔薇鶴〟!」
飛ぶ斬擊に薔薇のような刺が生えた一撃が今度こそカリブデュスの〝変異種〟にとどめをさす。
バリバリッ、バーン!
と、いつものように魔獣はゲームのモンスターみたいに消えた。
「あ、ドロップアイテムだ! カリュブディスの鱗だって。防具に使ってよし武器に使ってよしだね」
これにてカリュブディスの驚異は去った。
「流石ですね! 家の国は助かりました」
シルヴィアが惜しみ無い称賛を送る。
「〝スマイル〟は伊達じゃないな。人類最強の冒険者パーティーってのも納得だ。それにまだあいつら本気じゃないだろ?」
「ユキマサさんも流石ですね。ガリーも〝暴走化〟になっていませんし、チェリッシュも肆式までの仕様ですみましたから」
「ほんと、敵に回らなくてよかったぜ」
そうですね。ふふ。っと、シルヴィアは笑った。
*
それから数時間後の後処理と言うか事後報告。
森火事になっていた森は〝水の結晶〟で消し止められ、中でも被害の大きかった田んぼはほぼ全滅に近い。
何てことだ! 貴重なエルフ米が!
「おい黒芒これお前直せないか?」
「米か、米はやった事がないが多分できるのう」
「マジか! お米様のピンチだ。是非頼む!」
「任せるがいい」
「流石〝千妖様〟すごぃ!」
ピョコピョコと跳ねるのはおにぎり片手のガリレオンだ。
黒芒が田んぼを再生させてる途中、何やら険しい顔つきでユリィとジュンが現れた。
「どうしました? お父様、お母様?」
険しい目付きの二人にシルヴィアのトーンも強ばる。
「ちょっと僕たちに〝空間鳩〟が届いてね。そしてこれがさっき発表された号外記事だ。ユキマサ君、君に世界は託された」
「俺に世界が? どういう意味だ?」
スゥ……と、息を吸いジュンはこういった。
「──〝聖教会〟vs〝王国魔導士団〟!! 君のために、あの聖教会が重い腰をあげた!」
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