第827話 ユグドラシル28
*
「黒芒様、ユグドラシルの特性のお酒です。いかがですか?」
「うむ、貰おうかのう。シルヴィア」
シルヴィアもザルらしく、この飲みに付いて来ている。
その後も飲み明かして、夜も更けて来た頃、ようやく飲み会は終わった。ちなみにクレハと桜は寝落ち、ガリレオンは嬉しそうに黒芒に酌をしていた。
一部屋借りて眠りにつこうとすると一気に眠気がやって来た。
「黒芒、寝ないのか?」
「妾はもう少し飲む。主様の寝顔でも見ながらの」
「そりゃ、酔狂だな。おやすみ、黒芒」
「うむ、お休みじゃ、主様」
いい国だな〝ユグドラシル〟また明日国を見て回ろう。そんなことを考えてる内に俺は夢の中へと落ちていった。
次の日も、また次の日も俺たちは〝スマイル〟とシルヴィアと共に国を見て、共に語らい、飯を食った。
そんな楽しい時間を過ごしていると、一つの知らせが届いた。
「シルヴィア様、緊急です。魔獣カリブデュスが現れました。この〝ユグドラシル〟に向かっています。到着予想時刻は1刻後です」
報告してきたのは農夫の爺さんだった。
この国の戦力〝ジェスト〟だ。
「敵は三体、一体は特別個体〝変異種〟ですね」
左耳に手を当て何らかの魔法かスキルでカリブデュスの居場所を探るソフィア。
「あちゃー、カリブデュスの〝変異種〟かぁ。厄介だね」
額に手を当て参ったなぁと大袈裟気味にジェスチャーをするガリレオン。
「チェリッシュ、お願いがあります」
真剣な眼差しでシルヴィアが口を開く。
「みなまでいうこと無いわ。カリブディスは私たちが倒す。ソフィの母国からはお金は取れないし、宿もごはんもお世話になってるし」
「俺たちも手をかそうか?」
「いえ、気持ちだけ貰って置くわ。でも、私たちに万が一のことがあればその時はお願い」
三人がレベル100↑の〝スマイル〟が負けるのは想像できないが、俺は短く、
「分かった。武運を祈る」
と、だけ返事をしておいた。
クレハも桜も心配そうな顔をしていたが、俺に意見を合わせてくれた。
*
シルヴィアの避難指示は的確だった。
老若男女問わず村民を王宮に避難させ、七人の〝ジェスト〟を護衛に当たらせた。
この国の秘密組織である〝ジェスト〟も老若男女だ。鍬を持った爺さんから八百屋の店主、果てにはミリアより幼いんじゃないかと言う幼女までいた。
「シルヴィア、皆さん無事!?」
「お母様、私たちは全員無事です。チェリッシュ達〝スマイル〟も動いてくれるそうです!」
「それはよかったわ。百人力ね」
本当にホっとした様子でユリィは笑った。
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