第825話 ユグドラシル26
スルリと俺の影から黒芒が現れる。
「何やら良い匂いがするのう」
「やっと起きたか、お前の分もあるから席に着け」
するとまたスルリと影移動をし席に着く黒芒。
「うむ、馳走になるぞ」
「うわお! 向かいに黒芒さんだ。僕、食事喉通るかな!?」
黒芒のファンらしいガリレオンがそんな心配をするが、心配を他所に食べるペースは落ちてない。
「黒芒さん、お酌させて下さい!」
「貰おうかのう」
何処からか黒芒の為に酒を持ってきたガリレオンが嬉しそうに黒芒に酌をする。
黒芒の機嫌を酒で釣るとはやるなガリレオン。
「チェリッシュ、私たちもどうです? 一杯?」
「そうね、ソフィ。ユキマサ、貴方もどう?」
おっと、俺にまで酒の誘いが来たか。
「折角だから貰おうかな。世界一の冒険者パーティーと飲める機会なんてそう無いしな」
それではどうぞ。と、ばかりにソフィアが俺に酌をしてくれる。
「「「「乾杯」」」」
黒芒も混ざり乾杯をする。
ちなみにガリレオンは飲みより食い派らしく酒は飲まなかった。
「ユキマサ達は魔王を倒すために冒険をしてるって聞いたけど、発端は何? 貴方ほどの実力者が今まで水面下に潜んでたとなると不思議な話よ」
お酒が回ってポカポカして来たのか、チェリッシュが甘え半分真剣さ半分のようなトーンで俺に問い掛けて来る。
「ある者に頼まれてな、その約束で俺は動いて」
「ある者? 意味深な言い方をするのね。ダメ元で誰か聞いても良い?」
「アルテナって神様知ってるか?」
「それは誰だって知ってるわ。それが何か関係が?」
「神様に頼まれたんだ。魔王を倒して来てくれってな。まあ、信じないのも無理はない。ちなみに俺は異世界人だ」
それを聞いたチェリッシュは緑の瞳をパチクリ。酒を飲む手も止まる。
「ふふっ、ホラにしては出来すぎね。異世界と神様、そんな単語が出て初めて貴方の存在を認識できるわ」
「神様も異世界も実在したのですね」
「揚げパン美味しいよ! ユキマサも食べる?」
笑うチェリッシュと二つ返事で納得するソフィアと何処までもマイペースなガリレオン。
「揚げパンはお前が食べな」
「ユキマサって神様の使いなの?」
「そんな大それたモンじゃねぇよ」
「ふーん。僕は難しい話は分かんないや」
もぐもぐと揚げパンをリスみたいに頬張りながらガリレオンは食事を続ける。
「ユキマサ、今日は飲みましょ。やけ酒よ」
「やけ酒なのかよ」
「そうよ。極悪人稗月倖真を捕らえに来たら、善人なんだもの。これから〝アルカディア〟の依頼主たちに何て説明すればいいか……」
そう言ってチェリッシュは酒を仰いだ。
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