第818話 ユグドラシル19
*
「出来たぞ……って、何かお前ら仲良くなってるな」
大広間に戻ると、クレハと桜とシルヴィアは勿論、チェリッシュやガリレオン、ソフィアまで会話の輪に入ってキャッキャウフフと女子トークをしていた。俺マジ空気。
「あ、ユキマサ君、ごめんね。手伝わなくて」
「いや、別にそれはいいんだが……」
するとチェリッシュが、
「ユキマサ、桜ちゃんから聞いたわよ。メモリアルリング! 素敵ね。やっぱあなた良い人だわ」
テーブルから身を乗り出して俺を心底感心したような目で見てくる。
「あれは、桜が不憫でな。俺ができることはそれぐらいしかなかった。俺が後1日あの街に着くのが早かったら、祖父母も救える未来もあったかもしれないが、もう後の祭りだ」
「そうね。私も似たような経験があるわ。後1日、いえ、1時間早く現場に到着していれば救えた命はいくつもあった」
ぎゅっと拳を握りしめて悔しそうなチェリッシュ。お前も相当良い奴だよ。
「ユキマサ、ユキマサ! それがケーキ? 僕の好きな王様クリームがたっぷりじゃん!」
美味しそー! と、ぴょんぴょん跳ねながら近づいてくるガリレオン。
「ああ、久しぶりに作ったから味の保証はねぇが食ってくれ」
「あ、私切り分けるね!」
クレハがケーキを切り分けるべく、何処からかナイフを取り出し、俺からケーキを受けとる。
八等分に切られたケーキを俺たちは分け合う。
「一つは黒芒に取って置くか」
〝スマイル〟の三人に俺とクレハと桜、そしてシルヴィアと黒芒で丁度八等分だ。
「早く早く! 食べよ食べよ!」
「ガリー、急かさないの。食べ物は逃げたりしないわ」
はしゃぐガリレオンを溜め息混じりに注意するチェリッシュ。
吸血鬼なのに甘いものが好きとは珍しいな。
「「「「「「「いただきます!」」」」」」」
「不思議なお菓子ですね。カステラに生クリームと苺とは」
人掬いしたソフィアがケーキをじっくり観察しながら呟く。
「カステラじゃなくてスポンジな。まあ、食ってみてくれよ。毒とかは入ってないからさ」
「毒なんて入ってると思いませんよ。いただきます」
上品な仕草でケーキを口に運ぶとソフィアが目を見開く。
「美味っしいですね!」
「うっまー!! 何これ、何これ!!」
「ガリー、だから食事中は静かにって……あら、本当に美味しいわね♪」
もぐもぐと夢中で食べる〝スマイル〟の皆さん。これだけ喜ばれると作った甲斐があるね。
「ん~、美味しい」
「はい、美味しいです!」
クレハと桜も気に入ってくれたようだ。
よかった。よかった。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




